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ロゴデザイナー
ニシムラ ワタル
NISHIMURA WATARU

2019.06.21
プロフィール
ニシムラ ワタル
東京大学大学院 博士課程中退後、建築、公園、広場といった公共空間の設計やデザインを行う業界では名の知れた某建築設計事務所に勤務。
10年の歳月を経て、「ロゴデザイナー」に転身して3年半。
「ロゴデザイン」に特化したフリーランスデザイナーという一面を持ちながら一児の父でもあり「主夫」という一面も持つ。
interview
ロゴデザイナーでありながら、主夫でもあるニシムラさんの働き方は、現代の日本の中で、両立が難しいように思える。そんなニシムラさんが選んだ、ロゴデザイナーと主夫を両立する生き方を選んだ理由や、主夫でありロゴデザイナーであるからこそ生み出せるアウトプットの魅力に迫ってみた。

家族を大切にしたいから「フリーランス」を選んだ

まずはフリーランスになろうと思ったキッカケを教えてください。

フリーランスになる前は、会社勤めをしていました。属に言うサラリーマンというやつですね。憧れて入った建築業界で、設計やデザインをしていました。

建築業界もやりがいのある面白い仕事だと思っています。その代わり、激務が続くというのも事実です。少なくとも私が働いていたのは、休日出勤や徹夜などがとても多い会社でした。
激務が続く中で、私は無心になって働いていました。

転機になったのは妻の妊娠でした。

正直なところ、結婚してからも激務の続いていた私は、決して良い夫であったとは言えないと思います。
夫婦の会話も多いわけではありませんでした。
疲れ果てて帰ってきては、寝て、また仕事に行くという日々の繰り返しでしたからね。

子供が生まれてからも、このような生活が続いて良いのだろうか?

そんな風に思うようになったのが最初のキッカケかもしれません。

会社で働き続けながら、私生活の在り方に疑問を抱いていた中、さらに会社の中でも人間関係のトラブルのようなものがあり、意を決して、フリーランスになる覚悟をしました。

フリーランスではなく転職という道は考えなかったのですか?

その時は、会社というモノに疲れてしまっていましたからね(笑)
どこの会社に行っても似たようなものかなと思っていました。

だからフリーランスという道に迷いはありませんでしたね。

今では、家族との時間もしっかり確保できているし、家族の関係も良好なので、やっぱりフリーランスを選んで良かったと思っています。

自分にやれそうな事を着実にやる

建築士としてのキャリアがあるのに、建築の仕事をフリーランスとして選ばなかったのは何故ですか?

普通なら建築の仕事を選びますよね。

でも、建築の仕事って、1つのプロジェクトが完了するのに非常に時間がかかるんですよ。 場合によっては数年かかるケースも少なくありません。

さらに、会議のタイミングや納期といった時間のマネジメントの主導権がクライント側にあることが多く、そんな長いスパンの仕事を主夫としての仕事や子育てと両立しながらやるのは難しだろうなと考えていました。
それに、先ほどもお伝えしたように、以前の仕事には疲れていましたからね。別の仕事をして気持ちを切り替えたいというのもあったと思います。

デザインの中でもロゴデザインという特殊なデザインを選んだのは何故ですか?

私の場合、何の仕事をすれば自分の理想の生活スタイルを成り立たせられるかという発想から探していきました。

最初はクラウドソーシングで、自分にできそうな仕事を探しました。
建築業界で仕事をしていた時にも、簡単なグラフィックは描いていたので、グラフィックなら少しは仕事があるんじゃないかと思って、いくつかのコンペに応募したりしたんですよ。

それが、まぁ、空振りしました。1年で600案くらい出したと思います。
ほとんど勝てませんでしたね。

コンペでは勝てなかったので、コンペタイプの募集ではなく、募集条件から実績やPRによって選定してもらい、発注してもらってから制作するプロジェクト契約タイプの募集に移行してみました。

すると、プレゼンテーションがはまったのか、少しずつ仕事が入るようになり、実績も増え、その実績をきっかけにクラウドソーシング外での自分の「売り方」を試行錯誤しながら続け、今に至るという訳です。

そんな中気付いたのが、デザインっていうのは、やることが非常に広い、ということ。
都度、色々な要望に応えなければいけないので、習得しなければならない事が多く、また競争相手も非常に多い。つまり、効率が上がりにくいんです。

そんなとき、
他のデザイナーを見ていたら「ロゴだけやっている人」がいないという事に気づいたんです。 だったら、ロゴしかやらないというデザイナーになったら競争相手も少ないし、ロゴというデザインに集中して技術を磨いていけるので、尖った強みを作ることができるんじゃないかと思ったんです。

そこからはロゴ1本で仕事をしていきましたね。
デザインも何百も作っていくことで、ロゴを作るなら誰にも負けないという自信になっていきました。

主夫があってのロゴデザイナー

フリーランスになることに対して、家族の反対はありませんでしたか?

妻は会社員として働く私を見ていましたからね。
妻もよく「会社辞めたら?」って言ってくれていました。

ウチは幸運にも妻も共働きで働いていて、銀行員をやっていたこともあり、産後の職場復帰もしやすい環境でした。
お給料も普通にあったので、私の収入が安定していなくても、やっていけるという環境にあったのは幸運でした。
逆に、まだ子供が幼いということもあり、妻の分まで主夫業をしっかりとこなしたいというモチベーションにも繋がりました。

妻も私が主夫をやることに反対はありませんでしたし、継続して銀行で働きたいという考えもあったみたいなので、私が「主夫」をやるというのは妻にとってもちょうど良かったのかもしれません。

では、収入面に関しては、かなり頼れるものがあったという事でしょうか?

妻は、心配しなくても大丈夫。みたいなことを言ってくれていましたが、実際は、私にまったく収入がないと厳しいには厳しいというのが正直なところでした。

主夫としてやれる家計のやりくりにも限界はありますし。

だから、主夫としてのベースを保ち、しっかりと家を守りながらも、フリーランスとしてもそれなりに稼いでいきたいという気持ちで日々を過ごしました。

主夫としては、例えば3000円かかるような食費を1000円で同じ満足感が得られるものを用意するというような、節約という名の「稼ぎ方」をする。
さらにロゴデザイナーとしても収入を得えていくという、言ってみれば、主夫業もデザイン業も、私にとってはどちらも生活基準を高めるための「手段」なんですよ。

家族に不自由な生活をさせないために
まずは、主夫として家族を守る。そしてロゴデザイナーとして更に家族を守る。
それが私の家族の守り方です。

相手の想いを受け取ってロゴデザインに変えていく

営業方法はクラウドソーシングがメインですか?

先ほどもお話したように、最初の頃はクラウドソーシングを使っていました。
今でも、その時の繋がりの人で、定期的に仕事を相談してくれる人はいますね。
ただ、今ではあまり使わなくなりました。
やっぱり競争相手が多いので、効率が良くないのと、クラウドソーシングだと相手の顔が見えないというのが大きいですね。

現在では出来る限り相手の顔を見て仕事をしたいという気持ちがあります。
なので、出来る限り、対面でヒアリングさせてもらって、相手の想いや気持ちをしっかりと聞かせてもらうようにしています。

ロゴデザインって企業やサービスの顔になるので、ロゴの制作依頼をするときっていうのは、お客さんにスゴイ熱量があるんです。
その熱量をしっかりと受け止めて作ったロゴデザインと、その熱量を知らずに作ったロゴデザインでは出来上がりが全然違うものになると思うんです。

私はロゴデザイナーとして、そういう熱量を大事にしているので、実際に会ってお仕事をさせてもらえる方法を選んでいこうとすると、クラウドソーシングは選択外の方法になってしまうんです。

現在は、どのような営業活動をされていますか?

今はSNSが多いですね。@synchlogoでTwitterをやっているので、お仕事に繋がりそうな業種の方などにDMなどでアプローチさせてもらっています。

随時、ロゴデザイナーとしてロゴデザインについて発信し続けることで、フォロワーも着実に増えてきています。

ロゴデザイナーってデザイナーとも相性が良かったりして、デザイナーだけどロゴデザインは描けないって人も多く、そういう方から、ロゴデザインの発注もあったりします。

逆に、ロゴデザインを作っていると、他にもパンフレットや名刺やWEBデザインの話をいただくこともあるので、今度は、私が他のデザイナーにお仕事を発注するようなこともあります。

今は、ロゴ以外のデザイナーやエンジニアを集めてチームを作っていて、幅広い仕事を請け負えるような方法を用意しています。
そのため、チームメイトからロゴのデザインの話がもらえたりもします。

他にもロゴマーケットというロゴを出品して気に入った人がいればそれを購入できるサービスがあって、そこの提携デザイナーもさせていただいているので、出品しているロゴが売れると収入になります。

あとは、私の場合は主夫だからこそ繋がれる人たちっていうのもいるので、そういう関係の中で仲良くなって仕事に繋がるという事もありますね。

こんな感じで、SNSやチームの仲間、ロゴマーケット、今までに依頼をしてくださったお客様、と色々なところからお仕事がもらえるようにしています。

色々なところからお仕事をもらっているから、どれかが上手くいかなくなったとしても、収入に大きなダメージがなく、リスク分散ができているのは狙っていたことでもありますね。

しかも、ロゴマーケット以外は、依頼主に会って、話を聞いて仕事ができているのが良いです。
ロゴってデジタルで納品するものなので、何となく冷たいモノになってしまう気がしていて、それが、相手に会って、その気持ちみたいなものをロゴに込めるだけで、そこには温度があると思うんです。

私はそういう熱のあるモノをお客様に提供していきたいです。

自分にできるロゴデザインをただ作り続ける

今後はロゴデザイナーとしてどのような活動をしてく予定ですか?

とにかく、ロゴデザインだけやっていくつもりです。

他のデザイナーに「ロゴって一番難しくない?」て言われたことがあるんですけど、私からすると「パンフレットとか作る方が難しくない?」って思うんです。

そう思えることはきっと私にとって、才能と言うとオーバーかもしれないですけど、特徴だとは思うんです。

今、その特徴を活かしてロゴデザイナーをやっているのに、ロゴ以外のデザインに手を出しても、素養のない私では、競合に負けてしまうと思うんです。

だから、自分が勝てるフィールドをしっかりと固める。
そして、勝てるフィールドだからこそ、お客さんにも満足してもらえるものが提供できるし、これからの業界を生き残っていけるのだと思っています。

ニシムラワタルさんにとって
ロゴデザイナーとは

端的に言うとシンプルに金を稼ぐ手段。
そもそも主夫がロゴデザイナーをやっているので。

ただ言い換えるなら
生活を豊かにするために見い出した自分のライフスタイル ですね。

私にとっては主夫も生活の一部ですし、ロゴデザイナーも生活の一部です。

色々あって今にたどり着いているけど、家族のためとか、生活のために選んだ結果がコレなんです。

インタビューを終えて、

仕事とは人生の一部でしかない

ニシムラさんからは、働くという匂いが感じられない。
それはニシムラさんにとってロゴデザイナーという仕事は生活でしかないからだ。
幼い頃からロゴデザイナーになりたかったわけでも、ロゴデザイナーになりたくて転職したわけでもない。
自分を養い、家族を養う手段として、ロゴデザイナーという道をニシムラさんは見いだしたのだ。
自分の生活だからこそ、ロゴデザイナーというモノをおろそかにしないし、そこには人生という温かさが込められている。
妻と会話をするように、子供を育てるように、料理を作るように、浴槽を掃除するように、
同じように、ロゴがデザインされている。
仕事とは人生の一部でしかない。同時に、仕事とは人生の一部なのだ。
ニシムラさんは人生の中で唯一無二のロゴデザインを生み出しているのだ。

アルケミスタ
ニシムラワタルさんのお仕事紹介

「ロゴデザイン」専門の「ロゴデザイナー」。対話やヒアリングを重ねて、デザインのクオリティにこだわった作品を提供している。仕事をする上で大事にしていることは、お客様の“満足度”。お客様が良いと思ってもらえるものを当たり前のように仕上げる。それは主夫である西村さんだからこそできること。

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