Webサイトは分析しないと損をする。理由と分析方法

サイトを作った、リニューアルした——そのあと、何を根拠にサイトへ手を入れていますか。Webサイトは作って終わりではなく、更新(改善)しながら育てていくメディアです。ただ、「何となく気になるから」で行う改修は、まず失敗すると言っても過言ではありません。その判断の根拠になるのが「分析」です。分析はやらないと多くの場合、損をします。本記事では、Webサイトを分析する理由と、2つの分析方法——定点分析と施策分析——の進め方を、初心者のWeb担当者の方にもわかりやすく解説します。

目次

Webサイトを分析する理由

ひとことで言えば、分析しないと損をするからです。分析をすると次のようなことがわかります。

分析するとユーザー(顧客)が見える

分析をすると、訪問者の行動が見えます。どこから来て(検索・SNS・広告など)、どのページを見て、どこで離れたのか。あわせて、年齢層・性別・おおよその地域といった属性も、条件が整えば集計データとして見えてきます。たとえば「施工事例のページが想像以上に見られている」「訪問者は40代が中心で、近隣の県からのアクセスが多い」「パソコンから見に来ている人がほとんどいない」「こんなキーワードで検索してサイトに来ている」——こうした事実は、感覚では決してつかめません。誰に向けてサイトを作っているのかを、想像ではなく実際の訪問者の姿で捉え直せるようになります。

改善ポイントが正確になる

改善とは、悪いところを改めることです。つまり、悪いところが分からないと、そもそも改善にはなりません。分析をすることで、その「悪いところ」を明確にできるのです。たとえば「よく見られているのに問い合わせにつながっていないページ」が見つかれば、中身よりも、問い合わせへの導線に問題がある可能性を疑えます。「ほとんど見られていないページがある」なら、内容の前に、そこへたどり着く入口(検索やサイト内リンク)の問題を疑えます。当てずっぽうの改修ではなく、狙いを定めた改修ができるようになります。

費用の損切りができる

サイトの制作にも維持にも費用がかかります。分析によって、そのサイトの成果が数値として見えるようになることで、サイトの費用対効果が明確になります。分析の気づきとして重要なのが、仮に何らかの成果をあげていたとしても、費用対効果が悪いことがある、という点です。たとえば月々の費用をかけ続けている施策が、成果に対して割高だと分かれば、「やめる」「減らす」「別の施策に振り替える」という損切りの判断も可能になります。何も分からないまま、見合わない費用を払い続けることこそが、いちばんの損です。

頻度と深さが異なる2種の分析方法

本記事では、日常的なサイト運用の分析を、頻度と深さの違いで2つに分けて考えます。定期的にサイト全体の変化を確認する定点分析(定点観測)と、施策単位で成果を確認する施策分析です。

どちらの方法でも、Google AnalyticsGoogle Search Console のように計測できる環境を整えておくことが大前提です。まだの方は、導入も済ませておくようにしましょう。

定期的な健康診断「定点分析」

定点分析は、サイトの健康診断のようなものです。決まった頻度で、決まった数値を確認し、変化を見張ります。

月に1回のポイントをおさえたレポーティング

月に1回じゃなければいけないという訳ではありませんが、最低でも月に1回くらいを目安にすると良いです。

定点分析では、いくつかの数値を定めて、継続的にレポーティングします。たとえば次のような項目です。

  • ユーザー数(またはセッション数):先月と比べて増えたか、減ったか
  • ページビュー数:サイト全体でどれだけ見られたか
  • 滞在時間:1回の訪問でどれくらいじっくり見られているか
  • 流入元の内訳:検索・SNS・直接アクセスなど、どこから来た訪問者が多いか
  • よく流入されているページ:訪問の入口になっているページはどこか
  • よく見られたページ(上位5つ程度):訪問者の関心はどこに向いているか
  • アクセス地域:どの地域から見られているか(海外からの不自然なアクセスは、botの検知にもつながります)
  • 離脱率:どのページでサイトを離れられているか
  • 検索での表示回数・クリック数:検索結果にどれだけ出て、どれだけ選ばれたか(Search Console で確認できます)
  • 主な検索キーワード:どんな言葉で検索されてサイトに来ているか
  • キーイベント(問い合わせ数など):サイトの成果に最も近い数字です(フォームの受信件数を数えるだけでもかまいません)

比較は同じ集計条件・同じ期間の区切りで、前月や前年同月と行います。毎回同じフォーマットで記録するからこそ、「いつもと違う動き」に気づけます。

注意したいのは、細かな計測情報を増やし過ぎないことです。例えば、ページ単位でレポーティングをしようとすれば、かなり負担が大きくなり、レポーティングに対する費用もかさむため継続しにくくなります。継続できなくなることが、定点分析ではいちばんの損失です。

レポート自体は、ページ単位などにするよりも、カテゴリー単位やサイト全体でレポーティングするようにして、もしカテゴリーや全体の数値感の中で気になる部分があれば深堀してみる、という2段構造で考えるようにしましょう。

継続して実施できるように、スケジューラーに「サイトの定点分析」というタスクを毎月入れておくというのも継続するコツです。

全体の流れから成長や不調を確認する

定期的に取得している数値からは、長期的な流れを確認できます。たとえば12ヶ月分を並べてみると、右肩上がりに成長しているのか、毎年夏に増えるといった季節性があるのか、じわじわと下がり続けているのか——単月の数字だけでは気づけない変化が見えてきます。

そして、数値を記録するだけでは、あまり意味がありません。「なぜ増えたのか」「なぜ下がり続けているのか」——たとえば「ユーザー数が3ヶ月連続で微減 → 内訳を見ると検索流入が減っている → 検索パフォーマンスを見ると特定ページの表示回数が落ちている」というように、変化の原因を探っておくという考察までが分析です。この考察の蓄積が、次の打ち手の精度を上げていくことに繋がります。

費用と直結する効果検証「施策分析」

施策分析は、新規で作ったページや、サイトの改善施策などが、実施前と実施後でどのように変化したのかを把握するための分析です。施策にかけた費用と得られた成果を突き合わせられるので、費用対効果に直結します。

新規制作や更新・改善の成果を確認する

施策分析は、実施後に始まるものではありません。施策分析を前提にすることで、制作の時点で「何のために作るのか?」という目的が明確になりやすい——ここに大きな価値があります。実施前に「目的」「見る指標」「評価時期」を決めておき、実施後に同じ条件で前後を比較します(新規ページの場合は「前」がないので、事前に決めた目標値と照らして評価します)。指標は施策の目的によって変わります。

  • 問い合わせを増やすためのページなら:問い合わせ数、フォームへの到達数
  • 検索からの集客を狙った記事なら:検索での表示回数、検索流入数
  • スマホでの見やすさ改善なら:スマホ利用者の行動の変化(途中で離れずに読まれたか、問い合わせにつながったか)

逆に言うと、目的が決まっていない施策は、見る指標も決められません。決まった表に数字を埋めるだけでは正しい分析ができないのはこのためで、目的に沿った分析を考えるところから始める方がベターです。

失敗のレポートを恐れずに事実を受け入れる

施策分析で最も重要なのは、フラットな目線です。せっかく作ったコンテンツや更新は、どうしても都合の良い成果ばかりを探してしまい、正しい評価を見失いがちです。「表示回数は増えたから成功」と、目的だったはずの問い合わせ数から目をそらしてしまうような分析には、価値がありません。

可能な限り、数字からロジカルに物事を考えて、正しい考察を行ってください。失敗は、次の成功を手に入れるための大きなヒントです。仮に施策が失敗していたとしても、原因がわかれば次の改善につなげられます。それこそが分析の真価です。

分析を外注する場合のメリットとデメリット

分析を自社で行うのが難しい場合は、外注するのも一つの手段です。外注先としては、サイトの制作を任せている制作会社や、Webコンサルティング会社などがあり、一般的には制作会社が実施することが多いです。

メリット | 専門的な観点で深く分析する事ができる

自社で分析しようとしても、どのように数値を見れば良いのかがわからないことも多いものです。専門的な知見のある外注先であれば、見るべき指標の選定、比較のしかた、数値からの考察まで、深い分析が期待できます。自社の担当者は考察の結果を受け取って判断に集中できるので、時間の面でもメリットがあります(費用はかかりますので、前述の費用対効果の考え方はここでも同じです)。

デメリット | 実は分析が苦手な制作会社もあるので外注する際は要注意

正直にお伝えすると、制作会社の中には、分析をやっていないところもあります。制作会社は「作ること」が専門であり、分析はまた別の技術だからです。一方で、制作会社側としては経験を積みたいですし、できるところを見せたいので、「分析もできますか?」と聞けば「やれる」「やろうと思えばできる」などと答えがちです。

依頼する側としては、その言葉だけで判断せず、過去のレポートのサンプルを見せてもらう、数値の羅列だけでなく考察や改善提案まで書かれているかを確認する、といった方法などで、相手の考察力や改善提案力をしっかりと選定する目が大事になります。

まとめ

分析をすると、ユーザーが見え、改善ポイントが正確になり、費用の損切りができるようになります。メリットがたくさんあるので、やらないと損をする——これが本記事でお伝えしたかったことです。まずは月1回・少ない項目の定点分析から始めて、数値の記録で終わらせず考察までをセットに。施策を打ったときは、実施前に目的と指標を決めて、フラットな目線で前後を比較してみてください。

計測の土台がまだ整っていない方は、まずGoogle AnalyticsSearch Consoleの導入から。タグの管理にはGTM、検索エンジンへのページの通知にはsitemapも役立ちます(それぞれ導入手順の記事があります)。蓄積した数値と考察を、サイトの改善に活かしていきましょう。Web担当の仕事を体系的に学びたい方はWeb担当者のガイドブックもご覧ください。

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この記事を書いた人

制作会社や広告代理店で勤務する中で、様々な大手企業の制作ディレクションなどを担当。2013年に独立しLab-ry Worksを立ち上げる。中小企業を中心にウェブサイトにおける総合サポートを行う。独立前の経緯により、現在も大手のウェブプロジェクトにも参画する。ウェブの戦略からサーバの手配まで、中小企業向けにコストを抑えながらも高品質で効果的なウェブサイトを支援する。

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