用語集ら行

利用許諾

顧客の社名、ロゴ、担当者の名前・写真・声、あるいは業務データを、自社のコンテンツとして社外に公開する際に取得する「書面での同意」のこと。業界によっては「利用許諾=素材そのものを使わせてもらう権利」「公開許諾=完成したものを Web 等の媒体に載せる承認」と使い分けることもあるが、実務上はセットで扱われる。「口頭ではなく、必ず書面(データ含む)で残す」のが絶対の原則。

最大の特徴:「仲が良いから書面なしで OK」が引き起こす大惨事

導入事例やインタビュー記事の制作において、利用許諾は命綱。無断公開は、名誉毀損や契約違反、プライバシー侵害といった深刻な法的トラブルに直行する。現場で最も危険なのが、営業担当者の「先方とは仲が良いから、口頭の確認だけで OK だよ」という言葉を鵜呑みにすること。いざ記事を公開した後、先方の人事異動で担当者が変わった瞬間に「そんな話は聞いていない。今すぐ全削除してくれ」と主張が覆り、制作費と時間が全て水の泡になる事故が頻発している。

取得すべき必須項目と実務の進め方

法務部や弁護士が監修したテンプレートをベースに、案件ごとに以下の項目をカスタマイズして同意を得る。

  • 利用目的と範囲:事例記事のみか、採用サイトや広告にも使うか。
  • 利用媒体:Web 上のみか、印刷して営業資料やパンフレットにも使うか。
  • 利用期間と改変可否:無期限か。テキストや写真のトリミング(加工)を許容するか。
  • 最新の論点:撤回時の対応(削除の猶予期間など)、第三者提供の可否、AI の学習データへの利用可否。

現場でよくある「落とし穴」

許諾は「取って終わり」ではなく、その後の管理と運用が問われる。

  • 目的外利用による信用失墜:許諾範囲が「Web のみ」だったのに、良かれと思って展示会用の印刷パンフレットに無断転用してしまい、先方から大クレームを受ける。
  • 属人化による「証拠の消滅」:取得した許諾書(PDF)を前任者が個人の PC にだけ保存して退職。数年後に先方から「あの写真の使用期限はどうなっていましたか?」と聞かれた際、誰も合法性を証明できず泣く泣くコンテンツを全削除する。必ず全社でアクセスできるクラウド等で「1 案件 1 ファイル」として一元管理する。
  • 環境変化への対応漏れ:昔の古い許諾書を使い回しているため「AI 学習データ利用不可」の条項が漏れている。また、自社や先方の合併・分社化による権利の引き継ぎが宙に浮き、再許諾が取れずにお蔵入りになる。

言葉をよく利用する人

  • 法務 / 契約担当
  • Web 担当者(発注側)
  • 広報
  • マーケター
  • カスタマーサポート

会話上での使用例

Web公開のみで取った事例を広告に転用したいと相談された場面

  • マーケター
    B社の事例ページ、反応が良かったのでFacebook広告にも使いたいんですが、いけますか。
  • Web担当者
    そこは注意が必要です。最初にいただいた利用許諾はWeb公開だけの範囲なので、広告に使うには別途お願いし直さないといけません。B社に追加の許諾を依頼します。書面の雛形も更新しておきますね。

海外子会社が事例の英訳掲載を希望してきた場面

  • 海外子会社
    日本本社の事例を英訳して、海外サイトにも載せたいです。
  • Web担当者
    今の利用許諾には海外グループ会社での利用が入っていないので、そのままでは載せられません。先方に追加の許諾をお願いします。今後はグループ会社での利用も最初から雛形に含めるようにしておきます。

関連 Lesson(本書本文)

Lesson 5-5 事例コンテンツの作り方