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第5章 Lesson 5-1 / 読了 約13分

コンテンツの役割分担 — プロットは制作側、担当者は「2 段階チェック」と「橋渡し」

この記事でわかること

  • 担当者の役割は「2 段階チェック」と「自社情報の橋渡し」の 2 つ
  • 5 工程のどこで担当者が確認するか(プロット段階+最終)
  • プロット段階で見る 3 つのチェック観点(正確性・過不足・追加情報)
  • 医療・金融・士業など専門性が高い商材で役割を入れ替える例外パターン

第 5 章はコンテンツの章です。 現場でよくあるのが「業者に丸投げで一般論ばかりの原稿が上がってくる」という悩み。 本書はこの問題を「役割分担」の話として整理します。 プロットは制作側、担当者は橋渡しとチェック。 この分担を最初に固めるのが、効率的な原稿制作のコツです。 (このページでは、制作会社ライター・編集者をまとめて「制作側」と呼びます。)

1. プロットは制作側、担当者は「2 段階チェック」

1-1. 役割分担の前提条件

最初に大事な前提があります。 制作側がしっかりヒアリングできている状態 であること。 これが満たされていれば、原稿執筆を制作側に任せて問題ありません。 満たされていないなら、任せ方を変える前に、ヒアリング能力のある業者を選び直すことから考えます(Lesson 3-1)。

1-2. プロットは制作側が書く

プロットとは、原稿の骨子・素案のことです。 書くプロが書くのが効率的。 担当者が書く必要はありません。

1-3. 担当者の役割は「2 段階チェック」

  • プロット段階:「言っていることが正しいか / 過不足がないか / 他に足せる情報はないか」を確認
  • 最終ブラッシュアップ:完成原稿の最後の確認

1-4. 原稿執筆まで担うと、品質も時間も犠牲になりやすい

はじめて担当する人が陥りやすいパターンがあります。 「業者に頼むより自分で書いたほうが早いかも」と思って書き始めると、品質も時間も同時に犠牲になりがちです。 Lesson 1-1 でお伝えした「自分で手を動かすことが、費用対効果に合うか」の考え方を、ここでも思い出してください。 書くのはプロに任せて、担当者はチェックと橋渡しに集中するのがおすすめです。

2. 役割分担を 5 工程で整理する

各工程の担当と、担当者がやることを一覧にします。担当が一目で分かると、進行中の役割混乱を防げます。

工程主担当担当者がやること成果物
1 ヒアリング制作側情報源と取材時間を揃える取材メモ
2 プロット作成制作側—(待つ)プロット(骨子)
3 プロットチェック担当者正確性・過不足・追加情報の 3 観点で確認修正コメント
4 ブラッシュアップ
(構成や表現を整える作業)
制作側—(待つ)完成原稿
5 最終チェック担当者完成原稿を最後に確認公開 OK

テンプレ DL:コンテンツ制作 5 工程 役割分担シート(本書のテンプレ集に収録予定)

3. 「ヒアリングがしっかりできている状態」とは何か

3-1. ヒアリングが浅いと、プロットも浅くなる

役割分担が成り立つ大前提は、ヒアリングの深さです。 ヒアリングが浅いと、プロットも一般論になります。 「プロットは制作側」が機能する条件は、ヒアリングが深いことです。

3-2. 必要な情報源

ヒアリングの素材は、次のとおりです。

  • 第 2 章で整理した目的・ターゲット・KPI(問い合わせ数など、成果を見る指標)
  • 自社にしかない独自情報(Lesson 1-2 で扱った、コンテンツの価値の源泉)

3-3. 担当者が用意すべきインプット

  • 既存資料(過去のサイト原稿、サービス資料、社内文書)
  • 取材時間(関係者のスケジュール調整)
  • 関係者の都合(誰がいつどの時間帯で話せるか)

3-4. ヒアリングできない業者は要注意

ヒアリングを丁寧にやらない業者、質問が浅い業者、聞き出す力が弱い業者は要注意です。 業者選びの面談で「質問の質」を見ておくと、ここで効いてきます。

3-5. 例外 — 専門性が高い商材は役割を入れ替える

本書の標準的な役割分担「プロットは制作側、担当者は橋渡し」が成立するのは、制作側が外部から学習・吸収できる商材のときです。 一方、入れ替えが必要な商材があります。

  • 医療・医薬品関連(薬機法)
  • 金融・保険・投資(各業法)
  • 士業(各士業法)
  • 特殊技術領域
  • 規制業種全般

これらは、業界知識・法規制・専門用語の正確性が結果を左右する商材です。 入れ替え後の役割はこうなります。

  • 一次原稿(社内で事実確認した下書き。事実関係・専門表現)は 担当者または社内専門家 が書く(下書きでよい)
  • 業者は構成・編集・読みやすさ・SEO を担当

Lesson 1-1 の判断レイヤーで言えば、「専門家に委ねる」領域の判断が原稿にまで及ぶケース、と捉えると分かりやすいと思います。 社内の専門家が一次品質を担保し、業者は読みやすさで支える分担です。

4. プロット段階で担当者が問う「3 つの観点」

4-1. 観点 1:言っていることが正しいか

事実誤認・誤解・古い情報がないか。 プロット段階で気付ければ修正コストが低いです。

4-2. 観点 2:過不足がないか

伝えるべきことが揃っているか、余計なものがないか。 必要な情報の抜けと、不要な情報の混入の両方を見ます。

4-3. 観点 3:他に足せる情報はないか

自社の独自情報、最新の事例、補足データ、現場の生声。いずれも一次情報(自社だけが持つ実体験・事実)です。 担当者がここを足すことで、プロットが一般論から自社固有のコンテンツに変わります。

4-4. チェック時の心がけ

プロット段階で「方向修正」を入れておくのが鉄則です。 ブラッシュアップ後の大幅修正は、手戻りコストが最も高くなります。 プロット段階でしっかり方向を固めてから、ブラッシュアップに進みましょう。

5. 担当者の真の仕事 — 「自社情報の橋渡し役」

5-1. 業者・ライターは自社の内部情報を持っていない

業者は外部の存在です。 自社の内側にある情報(現場の生声、営業の体感、製造の裏側、顧客の本音)を、業者は持っていません。 だから、担当者が橋渡しする必要があります。

5-2. 担当者は「自社の独自情報を制作側に橋渡しする人」

「作る人ではなく、成果を引き出す人」という担当者の役割は、コンテンツ作りではこの形になります。 書くプロでなくて構いません。 でも、自社の内側にある独自情報を引き出して、業者に渡す役は担当者にしかできません。

5-3. 引き出して制作側に渡す情報の例

  • 営業現場の「よく聞かれる質問」(顧客の生の質問)
  • 経営層の「なぜこの事業をやっているか」(創業ストーリー・信念)
  • 製造現場・製作プロセス(裏側の手間・品質)
  • 失敗談・舞台裏(他社が書けない一次情報)

5-4. 取材時間を社内で確保するのも担当者の仕事

経営層 30 分、営業 1 時間、現場 30 分 — このような取材時間を社内で確保するのも担当者の仕事です。 調整役を引き受けることで、制作側の取材がスムーズに進みます。 集めた情報は、箇条書きのメモや録音・文字起こしのまま渡して構いません。整った文章にするのは制作側の仕事です。

6. よくある失敗例 2 つ

6-1. 担当者が自分で全部書いてしまう

書くプロではないのに抱え込み、公開が遅れたうえに一般論の原稿に——というケースです。 短期的には早く見えても、確認・修正まで含めると負担が増えやすいもの。書くのは制作側に任せます。

6-2. 営業・現場に取材せず、制作側任せにする

橋渡し役を放棄すると、サービスページが「どこにでもある一般論」に着地しがちです。 たとえば営業に「よく聞かれる質問」を取材していれば書けたはずの具体例が、抜け落ちてしまいます。取材機会の調整と関係者の巻き込みは担当者の仕事です。

7. 役割分担を成立させる、制作側の確認 2 項目

この役割分担が成り立つかは、制作側の 2 点で決まります。契約前に確認しておきましょう(業者選びの詳細は Lesson 3-1)。

  • ヒアリング能力:面談での質問が鋭いか。たとえば「御社の一番の強みは、お客様の言葉で言うと何ですか?」のように、具体を引き出す質問をしてくるかを見ます
  • プロットを出すか:本稿の前にプロットを出す進め方か。出さない相手だと、この 2 段階チェックが成り立ちません

8. ページの種類別 — 役割分担の目安

ページタイプ役割分担
コーポレートサイト制作側主導(ヒアリング → プロット → チェック)
サービス紹介制作側主導 + 営業ヒアリング(担当者がセット)
事例・お客様の声担当者主導の素材出し + 制作側執筆
オウンドメディア記事ライター主導 + 担当者の独自情報提供
社長メッセージ・採用ページ経営層 / 現場の生声 → 制作側で構成

コンテンツ作りと聞くと「自分が書かなきゃ」と気負ってしまいがちですが、担当者の本当の役割は書くことではありません。 自社の内側にある独自情報を引き出して制作側に渡し、プロットと完成原稿の 2 段階でチェックする。 この分担さえ押さえておけば、書くのが苦手でも良いコンテンツは作れます。 まずは「プロットは制作側、自分は橋渡しとチェック」という形を、次の制作で一度試してみてくださいね。