コンテンツの役割分担 — プロットは制作側、担当者は「2 段階チェック」と「橋渡し」
この記事でわかること
- 担当者の役割は「2 段階チェック」と「自社情報の橋渡し」の 2 つ
- 5 工程のどこで担当者が確認するか(プロット段階+最終)
- プロット段階で見る 3 つのチェック観点(正確性・過不足・追加情報)
- 医療・金融・士業など専門性が高い商材で役割を入れ替える例外パターン
第 5 章はコンテンツの章です。 現場でよくあるのが「業者に丸投げで一般論ばかりの原稿が上がってくる」という悩み。 本書はこの問題を「役割分担」の話として整理します。 プロットは制作側、担当者は橋渡しとチェック。 この分担を最初に固めるのが、効率的な原稿制作のコツです。 (このページでは、制作会社・ライター・編集者をまとめて「制作側」と呼びます。)
1. プロットは制作側、担当者は「2 段階チェック」
1-1. 役割分担の前提条件
最初に大事な前提があります。 制作側がしっかりヒアリングできている状態 であること。 これが満たされていれば、原稿執筆を制作側に任せて問題ありません。 満たされていないなら、任せ方を変える前に、ヒアリング能力のある業者を選び直すことから考えます(Lesson 3-1)。
1-2. プロットは制作側が書く
プロットとは、原稿の骨子・素案のことです。 書くプロが書くのが効率的。 担当者が書く必要はありません。
1-3. 担当者の役割は「2 段階チェック」
- プロット段階:「言っていることが正しいか / 過不足がないか / 他に足せる情報はないか」を確認
- 最終ブラッシュアップ後:完成原稿の最後の確認
1-4. 原稿執筆まで担うと、品質も時間も犠牲になりやすい
はじめて担当する人が陥りやすいパターンがあります。 「業者に頼むより自分で書いたほうが早いかも」と思って書き始めると、品質も時間も同時に犠牲になりがちです。 Lesson 1-1 でお伝えした「自分で手を動かすことが、費用対効果に合うか」の考え方を、ここでも思い出してください。 書くのはプロに任せて、担当者はチェックと橋渡しに集中するのがおすすめです。
2. 役割分担を 5 工程で整理する
各工程の担当と、担当者がやることを一覧にします。担当が一目で分かると、進行中の役割混乱を防げます。
| 工程 | 主担当 | 担当者がやること | 成果物 |
|---|---|---|---|
| 1 ヒアリング | 制作側 | 情報源と取材時間を揃える | 取材メモ |
| 2 プロット作成 | 制作側 | —(待つ) | プロット(骨子) |
| 3 プロットチェック | 担当者 | 正確性・過不足・追加情報の 3 観点で確認 | 修正コメント |
| 4 ブラッシュアップ (構成や表現を整える作業) | 制作側 | —(待つ) | 完成原稿 |
| 5 最終チェック | 担当者 | 完成原稿を最後に確認 | 公開 OK |
テンプレ DL:コンテンツ制作 5 工程 役割分担シート(本書のテンプレ集に収録予定)
3. 「ヒアリングがしっかりできている状態」とは何か
3-1. ヒアリングが浅いと、プロットも浅くなる
役割分担が成り立つ大前提は、ヒアリングの深さです。 ヒアリングが浅いと、プロットも一般論になります。 「プロットは制作側」が機能する条件は、ヒアリングが深いことです。
3-2. 必要な情報源
ヒアリングの素材は、次のとおりです。
- 第 2 章で整理した目的・ターゲット・KPI(問い合わせ数など、成果を見る指標)
- 自社にしかない独自情報(Lesson 1-2 で扱った、コンテンツの価値の源泉)
3-3. 担当者が用意すべきインプット
- 既存資料(過去のサイト原稿、サービス資料、社内文書)
- 取材時間(関係者のスケジュール調整)
- 関係者の都合(誰がいつどの時間帯で話せるか)
3-4. ヒアリングできない業者は要注意
ヒアリングを丁寧にやらない業者、質問が浅い業者、聞き出す力が弱い業者は要注意です。 業者選びの面談で「質問の質」を見ておくと、ここで効いてきます。
3-5. 例外 — 専門性が高い商材は役割を入れ替える
本書の標準的な役割分担「プロットは制作側、担当者は橋渡し」が成立するのは、制作側が外部から学習・吸収できる商材のときです。 一方、入れ替えが必要な商材があります。
- 医療・医薬品関連(薬機法)
- 金融・保険・投資(各業法)
- 士業(各士業法)
- 特殊技術領域
- 規制業種全般
これらは、業界知識・法規制・専門用語の正確性が結果を左右する商材です。 入れ替え後の役割はこうなります。
- 一次原稿(社内で事実確認した下書き。事実関係・専門表現)は 担当者または社内専門家 が書く(下書きでよい)
- 業者は構成・編集・読みやすさ・SEO を担当
Lesson 1-1 の判断レイヤーで言えば、「専門家に委ねる」領域の判断が原稿にまで及ぶケース、と捉えると分かりやすいと思います。 社内の専門家が一次品質を担保し、業者は読みやすさで支える分担です。
4. プロット段階で担当者が問う「3 つの観点」
4-1. 観点 1:言っていることが正しいか
事実誤認・誤解・古い情報がないか。 プロット段階で気付ければ修正コストが低いです。
4-2. 観点 2:過不足がないか
伝えるべきことが揃っているか、余計なものがないか。 必要な情報の抜けと、不要な情報の混入の両方を見ます。
4-3. 観点 3:他に足せる情報はないか
自社の独自情報、最新の事例、補足データ、現場の生声。いずれも一次情報(自社だけが持つ実体験・事実)です。 担当者がここを足すことで、プロットが一般論から自社固有のコンテンツに変わります。
4-4. チェック時の心がけ
プロット段階で「方向修正」を入れておくのが鉄則です。 ブラッシュアップ後の大幅修正は、手戻りコストが最も高くなります。 プロット段階でしっかり方向を固めてから、ブラッシュアップに進みましょう。
5. 担当者の真の仕事 — 「自社情報の橋渡し役」
5-1. 業者・ライターは自社の内部情報を持っていない
業者は外部の存在です。 自社の内側にある情報(現場の生声、営業の体感、製造の裏側、顧客の本音)を、業者は持っていません。 だから、担当者が橋渡しする必要があります。
5-2. 担当者は「自社の独自情報を制作側に橋渡しする人」
「作る人ではなく、成果を引き出す人」という担当者の役割は、コンテンツ作りではこの形になります。 書くプロでなくて構いません。 でも、自社の内側にある独自情報を引き出して、業者に渡す役は担当者にしかできません。
5-3. 引き出して制作側に渡す情報の例
- 営業現場の「よく聞かれる質問」(顧客の生の質問)
- 経営層の「なぜこの事業をやっているか」(創業ストーリー・信念)
- 製造現場・製作プロセス(裏側の手間・品質)
- 失敗談・舞台裏(他社が書けない一次情報)
5-4. 取材時間を社内で確保するのも担当者の仕事
経営層 30 分、営業 1 時間、現場 30 分 — このような取材時間を社内で確保するのも担当者の仕事です。 調整役を引き受けることで、制作側の取材がスムーズに進みます。 集めた情報は、箇条書きのメモや録音・文字起こしのまま渡して構いません。整った文章にするのは制作側の仕事です。
6. よくある失敗例 2 つ
6-1. 担当者が自分で全部書いてしまう
書くプロではないのに抱え込み、公開が遅れたうえに一般論の原稿に——というケースです。 短期的には早く見えても、確認・修正まで含めると負担が増えやすいもの。書くのは制作側に任せます。
6-2. 営業・現場に取材せず、制作側任せにする
橋渡し役を放棄すると、サービスページが「どこにでもある一般論」に着地しがちです。 たとえば営業に「よく聞かれる質問」を取材していれば書けたはずの具体例が、抜け落ちてしまいます。取材機会の調整と関係者の巻き込みは担当者の仕事です。
7. 役割分担を成立させる、制作側の確認 2 項目
この役割分担が成り立つかは、制作側の 2 点で決まります。契約前に確認しておきましょう(業者選びの詳細は Lesson 3-1)。
- ヒアリング能力:面談での質問が鋭いか。たとえば「御社の一番の強みは、お客様の言葉で言うと何ですか?」のように、具体を引き出す質問をしてくるかを見ます
- プロットを出すか:本稿の前にプロットを出す進め方か。出さない相手だと、この 2 段階チェックが成り立ちません
8. ページの種類別 — 役割分担の目安
| ページタイプ | 役割分担 |
|---|---|
| コーポレートサイト | 制作側主導(ヒアリング → プロット → チェック) |
| サービス紹介 | 制作側主導 + 営業ヒアリング(担当者がセット) |
| 事例・お客様の声 | 担当者主導の素材出し + 制作側執筆 |
| オウンドメディア記事 | ライター主導 + 担当者の独自情報提供 |
| 社長メッセージ・採用ページ | 経営層 / 現場の生声 → 制作側で構成 |
コンテンツ作りと聞くと「自分が書かなきゃ」と気負ってしまいがちですが、担当者の本当の役割は書くことではありません。 自社の内側にある独自情報を引き出して制作側に渡し、プロットと完成原稿の 2 段階でチェックする。 この分担さえ押さえておけば、書くのが苦手でも良いコンテンツは作れます。 まずは「プロットは制作側、自分は橋渡しとチェック」という形を、次の制作で一度試してみてくださいね。