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第5章 Lesson 6 / 読了 約12分

公開前チェック — 基本は制作側、担当者は重点箇所だけ

この記事でわかること

  • 公開前チェックの役割分担(基本は制作側、担当者は重点箇所)
  • 見る範囲が狭くても、全体責任は担当者が負う理由
  • よくある失敗「公開前になって要素の変更を始める」
  • 担当者が最後まで譲れない観点(金額・CV・重要な挙動)
  • 見落としやすい 5 領域(個人情報・法定表示・セキュリティ・noindex計測タグ)

第 5 章のラストは、公開直前の最終チェックの話です。 現場では「全部担当者が見る」と思い込まれていますが、本書は別のスタンスを取ります。 基本は制作側、担当者は重点箇所のみ。 ただし最終承認の責任は担当者が負う、という役割分担と責任分担の話です。

1. 担当者が見る範囲は「経営インパクト」で絞る

基本は制作側がチェック

第5章 Lesson 1 の役割分担は、チェックの場面でも同じです。 公開前チェックの大部分は、制作側がやります。 誤字脱字、見出し構造、SEO 構造、表示崩れ、リンク切れ — このあたりは制作側の領域です。

担当者が全部見ようとしない

全部見ようとすると、本当に見るべきところを見落とします。 集中するポイントを絞るのが、担当者の最終チェックの鉄則です。

担当者が重点確認するのは

  • CV に関わる重要な遷移の動き
  • 大きな問題につながる情報(価格・サービス内容・契約条件など)

「経営インパクトの大きい箇所」だけに集中する

判定の基準は、「誤ると売上・問い合わせ・契約・法令対応に響くか」 です。 金額、申込フォーム、契約条件、法定表示 — このあたりだけ、担当者が自分の目で最後に確認します。

2. 任せた範囲も、確認結果を受け取って承認する

「見る範囲が狭い」と「責任が狭い」は別物

ここが公開前チェックでいちばん大事な考え方です。 担当者が自分の目で見る範囲は絞ってよいのですが、だからといって責任まで狭くなるわけではありません

  • 役割分担:誰が手を動かして見るか(物理的な作業分担)
  • 責任分担:公開を承認した人 = 全体責任を負う人(=担当者)

「制作側がチェック済みだから大丈夫」ではなく、担当者は「制作側のチェック結果を確認したうえで公開を承認する」 という構造です。 「承認には責任が伴う」という原則は、第 8 章の公開直前の話でも繰り返し登場します。

自分で見ない範囲は「確認結果を受け取って記録する」

業者が見落としても、最終的に対外的な責任を負うのは、公開を承認した自社側です。 だからこそ、自分で見ない範囲についても、業者から確認結果を受け取って記録に残しておきましょう。 「誰が・いつ・何を確認したか」が残っていれば、後で何かあったときの大切な根拠になります。

担当者の責任範囲を文書化しておく

役割分担シートを使って、「誰が見て」「誰が承認するか」 を関係者全員で合意しておくと安心です。 曖昧なまま進めると、後で「誰の責任か」でもめがちです。

3. 公開前チェックで「要素の変更」を始めるのがよくある失敗

公開前 = 制作・チェック概ね完了状態

公開前は、制作とチェックがほぼ完了している状態です。 もう「作っている」フェーズではありません。

「まだ公開していないから変更できる」という考えが危険

この発想がリスクの入口です。 公開前に変更を加えると、見た目以上に大きなコストが発生します。

変更を加えるとリスクが高まる

  • 再チェックが必要になる
  • データのデグレード(変更箇所以外も変わってしまう)
  • スケジュール遅延
  • 業者との関係悪化

「公開前は変更しない」のルールを最初に握る

プロジェクト初期に、関係者全員で合意しておきます。 「公開前は変更しない」を原則として、最初から共有しておくとスムーズです。

どうしても変更したい場合の正しい手順

  • 公開を延期する(変更が大きい場合)
  • 公開後のフェーズ 2 として変更する(後でも対応可能なもの)
  • 重大な事実誤認のみ即修正(その場合も影響範囲を業者と確認)

公開前の変更は、実質的な「フェーズ戻り」

公開前の変更は、完了したはずの工程へ逆戻りする行為です。 第4章 Lesson 2 で「フェーズの手戻りが最も高くつく」とお伝えしたのと、同じ構造の問題です。

4. 担当者が「最後まで譲れない」観点

金額・料金の誤記

価格は、読者が申し込みや購入を判断するいちばんの根拠です。 税込・税抜、月額・年額、割引条件、キャンペーン期限を、本番の画面で確認します。 誤りは契約トラブルに直結するので、ここは必ず自分の目で見ます。

数量・仕様の誤記

製品スペック、サービス内容の誤記も同様です。

CV を含めた重要リンク

CV(問い合わせ・購入・資料請求など、サイト上で達成したい行動)につながるリンクが動くか、確実に確認します。 問い合わせ・購入・申込フォームへの遷移は、リンク切れが一番の機会損失になります。

重要な挙動

合格の目安は「意図した動きになり、エラーや二重送信が起きないこと」です。

  • フォームの動作(送信 → バリデーション〈入力内容のチェック〉→ サンクスページ〈送信完了後に出る画面〉まで通す)
  • モーダル〈画面の上に重なって開く小窓〉(開閉・閉じるボタンが効くか)
  • アコーディオン〈クリックで開閉する折りたたみ〉(開閉・複数同時開きの挙動)
  • スライダー〈画像などが横に切り替わる仕組み〉(自動再生・手動操作・ループ)

法令観点

景品表示法・薬機法・業界規制(必要な業種のみ)を最終確認します。

見落としやすい 5 領域 — 個人情報・法定表示・セキュリティ・noindex・計測タグ

本書独自の追加観点です。 「金額・CV・動作」だけでは足りず、次の 5 領域も必ず確認しておきたいところです。

  • 個人情報:公開前にフォーム送信先・問い合わせ受信メールアドレス・プライバシーポリシーリンクが正しく動くか、本番側で確認
  • 法定表示特定商取引法表記(EC)、業種別の必須表示(金融商品取引法、宅建業法、有料職業紹介、薬機法 等)、運営会社情報、表記場所と内容
  • セキュリティSSL / TLS(通信を暗号化する仕組み。全ページ HTTPS で表示されるか)、サブドメインの SSL 漏れ(第1章 Lesson 4)、フォームの不正送信対策、管理画面の認証強度
  • noindex / robots.txt:noindex(検索結果に出さない指定)を、公開前の確認用サイト(ステージング)で付けたまま本番で外し忘れる事故(SEO の致命傷)、テスト用ページの除外漏れ、サイトマップとの整合。robots.txt(検索エンジンの巡回を制御するファイル)も確認
  • 計測タグGTM(タグをまとめて管理する仕組み)・GA4(Google のアクセス解析)・広告タグ(Google 広告、Meta、Yahoo)、コンバージョン計測、本番タグと開発タグの混在事故、サンクスページの CV タグ

チェックの仕組み:業者から「タグ実装完了報告書」「セキュリティ・SSL 確認書」「noindex 除外確認書」を受け取っておくと安心です。

中小企業ほど油断する領域 です。 noindex の戻し忘れ、特商法表記の文言ミス、GA4 二重計測 — このあたりは後から気づくと痛手になりがちです。 公開前チェックリストにあらかじめ組み込んでおきましょう。

5. 動作チェックは「実機 + 多端末」で

重要な挙動の確認は、画面シミュレーターだけで済ませず、実機で行います。

  • iOS / Android / PC の 3 環境で動作確認する(観点は 第4章 Lesson 4 のチェックリストが使えます)
  • フォーム送信は実際に最後まで通してみる(入力チェック → 送信 → 完了ページ → メール受信まで)
  • モーダル・アコーディオン・スライダーは、マウスではなく指で触って確認する
  • 業者からの確認結果報告を必ず受け取る

6. 公開後の即時対応フロー

「公開したら終わり」ではなく、時間軸を決めて動けるようにしておきます。

  • 公開直後(〜30 分)本番環境でもう一度、金額・CV・フォームなど全項目をチェック
  • 当日中:トラブル発生時の連絡経路(担当者 → 業者 → 上長)を実際に回せる状態にしておく
  • 重大な不具合が出たら:緊急ロールバック(公開前の状態に戻すこと)の基準を事前に合意しておき、迷わず判断する
  • 公開後 24 時間:誰が監視するか(担当者か業者か)を決めておく

7. チェックフローを社内で運用ルール化

毎回ゼロから考えなくて済むよう、「誰が・いつ・どこに記録し・誰が承認するか」を決めておきます。

  • チェック開始のトリガー(公開の何日前から始めるか)
  • チェック完了の判定基準(全項目が完了したことを、誰がどのシートで確認するか)
  • 「公開してよい」と最終判断する承認者(第2章 Lesson 1 で決めた決定権者と揃えます)
  • 公開後の振り返りで「次回改善点」を残す(毎回の学びをチェックリストに反映して育てる)

公開直前はどうしても緊張する場面ですが、「全部を自分が見る」必要はありません。 制作側に任せるところは任せ、担当者は経営インパクトの大きい箇所に集中する。 そして最後に「公開を承認する」役割をしっかり果たす — この切り分けができれば、最終チェックはぐっと落ち着いて進められます。 今回の観点を一つずつチェックリストにしていけば、回を重ねるごとに自分なりの公開前ルーティンが育っていきます。