公開前チェック — 基本は制作側、担当者は重点箇所のみ、公開前の変更が最大の罠
この記事でわかること
第 5 章のラストは、公開直前の最終チェックの話です。 現場では「全部担当者が見る」と思い込まれていますが、本書は別のスタンスを取ります。 基本は制作側、担当者は重点箇所のみ。 ただし最終承認の責任は担当者が負う、という役割分担と責任分担の話です。
1. 公開前チェック — 基本は制作側、担当者は「重点箇所」だけ
1-1. 基本は制作側がチェック
Lesson 5-1「役割分担」と完全連動します。 公開前チェックの大部分は、制作側がやります。 誤字脱字、見出し構造、SEO 構造、表示崩れ、リンク切れ — このあたりは制作側の領域です。
1-2. 担当者が全部見ようとしない
全部見ようとすると、本当に見るべきところを見落とします。 集中するポイントを絞るのが、担当者の最終チェックの鉄則です。
1-3. 担当者が重点確認するのは
- CV に関わる重要な遷移の動き
- 大きな問題につながる情報(価格・サービス内容・契約条件など)
1-4. 「経営インパクトの大きい箇所」だけに集中する
判定の基準は、間違うとビジネスにダメージを与えるかどうか。 そこに該当する箇所だけ、担当者が集中して確認します。
2. 制作側に任せる部分・担当者が見る部分
2-1. 制作側がチェック
誤字脱字 / 表現 / 見出し構造 / SEO 構造 / 表示崩れ / リンク切れ — これらは制作側の領域です。
2-2. 担当者がチェック
金額・数量・仕様 / CV リンク / 重要動作 / ブランドトーン / 法令観点 — これらが担当者の重点領域です。
2-3. 切り分けの目安
切り分けの目安は 「間違うとビジネスに直接ダメージを与えるもの」 は担当者、その他は制作側です。
2-4. 担当者の責任範囲を文書化
役割分担シートを使って、関係者全員で合意しておくと安心です。 曖昧なまま進めると、後で「誰の責任か」であいまいになりがちです。
2-5. ただし最終承認者の全体責任は担当者にある — 役割分担と責任分担は別物
重要な注意点です。 「担当者が見る範囲が狭い」と「責任が狭い」は別の話 です。
- 役割分担:誰が手を動かして見るか(物理的な作業分担)
- 責任分担:公開を承認した人 = 全体責任を負う人(=担当者)
「制作側がチェック済みだから OK」ではなく、担当者は「制作側のチェック結果を確認した上で公開を承認する」 という構造です。 Lesson 8-1「承認には責任が伴う」と完全連動します。
業者が見落としても、最終的に対外的な責任を負うのは公開を承認した自社側です。 担当者の留意:「見ない範囲」も確認結果を業者から受け取って記録に残す(後で何かあったときの根拠)。
テンプレ DL:公開前チェック 役割分担シート(本書のテンプレ集に収録予定)
3. 公開前チェックで「要素の変更」を始めるのが最大のやらかし
3-1. 公開前 = 制作・チェック概ね完了状態
公開前は、制作とチェックがほぼ完了している状態です。 もう「作っている」フェーズではありません。
3-2. 「まだ公開していないから変更できる」という考えが危険
この発想がリスクの入口です。 公開前に変更を加えると、見た目以上に大きなコストが発生します。
3-3. 変更を加えるとリスクが高まる
- 再チェックが必要になる
- データのデグレード(変更箇所以外も変わってしまう)
- スケジュール遅延
- 業者との関係悪化
3-4. 「公開前は変更しない」のルールを最初に握る
プロジェクト初期に、関係者全員で合意しておきます。 「公開前は変更しない」を原則として、最初から共有しておくとスムーズです。
3-5. どうしても変更したい場合の正しい手順
- 公開を延期する(変更が大きい場合)
- 公開後のフェーズ 2 として変更する(後でも対応可能なもの)
- 重大な事実誤認のみ即修正(その場合も影響範囲を業者と確認)
3-6. Lesson 4-2「フェーズ飛ばし禁止」と完全連動
公開前変更は、実質的なフェーズ戻りです。 Lesson 4-2 で扱った「フェーズ飛ばし禁止」と同じ構造の問題です。
4. 担当者が「最後まで譲れない」観点
4-1. 金額・料金の誤記
価格表示は最重要、誤りは契約トラブル直結です。
4-2. 数量・仕様の誤記
製品スペック、サービス内容の誤記も同様です。
4-3. CV を含めた重要リンク
問い合わせ・購入・申込フォームへの遷移が動くか、確実に確認します。
4-4. 重要な挙動
- フォームの動作(送信・バリデーション・サンクスページ)
- モーダル(開閉・閉じるボタン)
- アコーディオン(開閉・複数同時開きの挙動)
- スライダー(自動再生・手動操作・ループ)
4-5. 法令観点
景品表示法・薬機法・業界規制(必要な業種のみ)を最終確認します。
4-6. ぜひ加えたい — 個人情報・法定表示・セキュリティ・noindex・計測タグの 5 領域
本書独自の追加観点です。 H2-4-1〜4-5 だけでは少し足りないので、次の 5 領域もあわせて確認しておきたいところです。
- 個人情報:公開前にフォーム送信先・問い合わせ受信メールアドレス・プライバシーポリシーリンクが正しく動くか、本番側で確認
- 法定表示:特定商取引法表記(EC)、業種別の必須表示(金融商品取引法、宅建業法、有料職業紹介、薬機法 等)、運営会社情報、表記場所と内容
- セキュリティ:SSL / TLS(全ページ HTTPS)、サブドメイン SSL の自動非適用(Lesson 1-4 連動)、フォームの XSS / CSRF / Bot 対策、管理画面の認証強度
- noindex / robots.txt:公開前ステージングの noindex を本番で外し忘れる事故(SEO 致命傷)、テスト用ページの除外漏れ、サイトマップとの整合
- 計測タグ:GTM・GA4・広告タグ(Google 広告、Meta、Yahoo)、コンバージョン計測、本番タグと開発タグの混在事故、サンクスページの CV タグ
チェックの仕組み:業者から「タグ実装完了報告書」「セキュリティ・SSL 確認書」「noindex 除外確認書」を受け取っておくと安心です。
中小企業ほど油断する領域 です。 noindex の戻し忘れ、特商法表記の文言ミス、GA4 二重計測 — このあたりは後から気づくと痛手になりがちです。 公開前チェックリストにあらかじめ組み込んでおきましょう。
テンプレ DL:担当者重点チェックリスト(5 観点)、公開前「見落としやすい 5 領域」確認書テンプレ(本書のテンプレ集に収録予定)
5. 動作チェックは「実機 + 多端末」で
- Lesson 1-6 / 4-4 と完全連動:スマホ表示チェックの三段構え(DevTools + iOS + Android)
- iOS / Android / PC の 3 環境で動作確認
- フォーム送信は実際に最後まで通してみる(バリデーション → 送信 → サンクスページ → メール受信)
- モーダル・アコーディオン・スライダーは指で触って確認(マウスではなく指、実機で)
- 業者からの確認結果報告を必ず受け取る
6. 公開後の即時対応フロー
- 公開直後の最終確認(本番環境でもう一度全項目チェック)
- トラブル発生時の連絡フロー(担当者・業者・上長の連絡経路)
- 緊急ロールバックの基準(どこまで重大ならロールバックするか事前合意)
- 公開後 24 時間の監視責任(担当者 or 業者、決めておく)
7. チェックフローを社内で運用ルール化
- チェック開始のトリガー(完成 → 何日前から開始するか)
- チェック完了の判定基準(全項目 OK の確認方法)
- 「公開 GO」の最終承認者(Lesson 2-1「決め方を決める」と連動)
- 公開後の振り返りで「次回改善点」を残す(毎回の学びを蓄積)
公開直前はどうしても緊張する場面ですが、「全部を自分が見る」必要はありません。 制作側に任せるところは任せ、担当者は経営インパクトの大きい箇所に集中する。 そして最後に「公開を承認する」役割をしっかり果たす — この切り分けができれば、最終チェックはぐっと落ち着いて進められます。 今回の観点を一つずつチェックリストにしていけば、回を重ねるごとに自分なりの公開前ルーティンが育っていきます。