キャッチコピー・見出し — 評価軸は「目的に直結」、一般論から抜け出す
この記事でわかること
第5章 Lesson 1 でコンテンツの役割分担を整理しました。 この Lesson はコピー(キャッチコピー・見出し)の話です。 コピーは原稿の中で一番目立ち、一番読まれる部分です。 だからこそ「綺麗」と「効く」を混同しないことが大切になります。
1. キャッチコピーは「綺麗な言葉」ではなく「行動に直結する道具」
一番の評価軸は「目的(行動)に直結しているか」
キャッチコピーの評価軸はシンプルです。 綺麗・かっこいい・印象的、ではなく、目的に直結しているか。 第2章 Lesson 1 の「4 つの問い」のうち「どう行動してほしいか」に、コピーが直接繋がっていれば OK です。
土台は 第2章 Lesson 1 の「4 つの問い」
コピーは、企画段階で言語化した「どう行動してほしい」を直接喚起する道具です。 企画と切れたコピーは、どれだけ綺麗でも効きません。
コピーは「道具」であって「作品」ではない
コピーは作品ではありません。 美しさを目的にすると、目的(行動)から遠ざかります。 機能する道具として、目的に向かわせる文を作ります。
「目的」は短期 CV だけではない — ブランド形成・採用・信頼醸成も含む
「目的に直結」を狭く読むと、「今すぐ買え / 今すぐ問い合わせろ」の短期 CV(問い合わせ・購入・応募などの成果)コピーだけになります。 でも、サイト全体のページごとに目的は違います。
第2章 Lesson 1「4 つの問い」の「どう行動してほしい」を、ページごとに具体化 する習慣を持ちたいところです。 短期 CV ページ(LP、申込)と、ブランド / 採用ページでは、コピーの評価軸が違います。
担当者の仕事は、そのページの目的が短期行動か長期記憶か を制作側に明示することです。 たとえば採用ページなら「成長できる会社です」より、「未経験から半年で案件を任される研修があります」 のほうが、応募前の不安に答えていて目的に近づきます。
2. よくある失敗 — 「綺麗だが何も言っていない一般論」
典型例 5 つ
現場でよく見る、ダメコピーの典型例です。
- 「最高の品質を提供します」
- 「お客様第一」
- 「未来を創る」
- 「ワンストップで」
- 「業界をリードする」
なぜダメか
- どの会社でも書ける
- 中身がない
- 差別化にならない
- 行動に繋がらない
なぜ書いてしまうか
- 当たり障りないので「安全」に思える
- 社内承認が通りやすい
- 深く考えなくて済む
抜け出す問い
一般論かどうかを判定する、たった 1 つの問いがあります。 「これ、競合の名前に置き換えても成立する?」。 成立するなら一般論です。 書き直してください。
一般論を独自化する 3 ステップ
- 数字を入れる(「最高」より「3 年連続 No.1」「導入 10,000 社」)
- 顧客視点に置き換える(「品質提供」より「作業時間が半分になります」)
- 自社しか書けない情報を入れる(第5章 Lesson 1 の橋渡しで集めた独自情報の出番です)
ただし数字訴求はリスクも伴う — 根拠・比較条件・表示ルールが必須
「3 年連続 No.1」「導入 10,000 社」「業界シェア No.1」は便利な訴求ですが、裏付けがないと、事実より良く見せる表示として景品表示法(景表法)上の問題になる可能性があります。 数字を出すなら、社内で次を固めておきたいところです。
- カウント定義(導入社数:契約ベース / 利用ベース / トライアル含む?)
- 集計期間(いつからいつまでの累計か)
- 比較条件(No.1 の調査機関・調査対象・調査時期)
- 表示ルール(注釈表記、出典明示)
中小企業ほど油断する領域 です。 規模が小さいほど「ちょっと盛る」が起きやすく、後から景表法・消費者庁ガイドラインで指摘されます。 担当者の仕事は、数字案が出てきたら根拠を社内で固めてから掲載 すること。 固められなければ載せない、という判断ができると安心です。
3. 「目的に直結する」コピーを書く 3 ステップ
Step 1:目的(行動)を決める
問い合わせ / 購入 / 応募 / 資料 DL — 第2章 Lesson 1 で決めた行動を、ここで再確認します。
Step 2:ターゲットの「行動前の状態」を書き出す
その人が行動する直前に、どんな願望・不安・疑問を抱えているか。 ここを言語化すると、コピーで触れるべきポイントが見えます。
Step 3:その状態に対する「答え」をコピーにする
具体例で見ると、こうなります。
- 目的:無料体験申込
- ターゲットの状態:家事代行に興味あるが、知らない人を家に入れる不安
- コピー:「家事代行、まず 1 時間だけ。試してから決められます」
4. キャッチコピーの 4 タイプ
- ベネフィット型(ベネフィット=読者に起きる良い変化):「×× できるようになる」
- 数字・実績型:「3 年連続 No.1」「導入 10,000 社」(根拠必須)
- 問いかけ型:「×× で悩んでいませんか?」
- 物語・共感型:「私たちも同じ悩みでした」
一番使いやすいのがベネフィット型です。コツは 機能ではなく、読者に起きる変化を書く こと。勤怠管理システムなら「打刻機能つき」(機能)ではなく、「毎月の集計作業がゼロになります」(変化)と書きます。 商材と目的でタイプを選び、1 つに固執せず、ページごとに合うタイプを選ぶのが現実的です。
5. 見出し(H2 / H3)の基準 — 「見出しだけで内容が分かる」を譲らない
読者はまず見出しを流し読みする(スキャン読み)
Web の読者は、いきなり本文を読みません。まず見出しを上から下へ流し読みし、自分に関係しそうかを判断します。これが「スキャン読み」です。
「見出しだけで内容が分かるか」が分かれ道
見出しだけで内容が分かれば、読者は本文を読む気になります。逆に、見出しから内容が読めないと、本文に進まず離脱します。本文がどれだけ良くても、見出しが弱いと届きません。 Google も見出しを重視するので、「見出しで内容が分かる」状態は SEO(検索からの集客)にも効きます。
業者に「見出しだけで通読して」と伝える
業者に原稿を依頼するときは、「見出しだけ通読して、ページ全体の内容が分かるか確認してほしい」 と伝えます。これで見出し設計の質が上がります。
悪い見出しは、こう直す
- 「はじめに」「概要」「特徴」(中身が分からない) → 「この記事で分かる 3 つのこと」のように中身を入れる
- 「私たちの想い」(誰でも書ける一般論) → 「創業のきっかけは、1 件のクレームでした」のように具体を入れる
良い見出しの例:「Web 担当者の役割を 1 文で言うと、こうなります」「失敗事例 3 つから学ぶリニューアル判断」「最初の 1 ヶ月でやるべきことはたった 2 つ」。いずれも、見出しだけで中身が想像できます。
6. 担当者が業者にコピー・見出しを発注するときの伝え方
- 依頼文書に「目的(行動)」を明記する(RFP=制作会社に渡す依頼条件書 と同じ考え方。第3章 Lesson 2)
- ターゲット(ペルソナ=想定読者像)を具体的に渡す
- 「綺麗な一般論はいらない」 と最初に伝えておく
- 複数案(3〜5 案)を出してもらい、比較して選ぶ
- 選ぶときの評価軸は「目的への直結度 × ターゲットへの響き × 独自性」
7. コピーの良し悪しをチェックする 5 つの問い
- 競合の名前に置き換えても成立するか?(成立なら一般論)
- ターゲットの行動前の状態に答えているか?
- 目的(行動)に直結しているか?
- 1 秒で読めるか?(長すぎないか)
- 自社しか書けない要素が入っているか?
テンプレート:コピーチェック 5 問シート
8. 補足:迷ったら A/B テストという手も
どうしても 1 案に絞り切れないときは、A/B テスト(2 案を同時に公開して成果を比べる方法)という手があります。アクセスの多い LP で特に有効です。コツは、似た 2 案ではなく 方向性の違う 2 案を勝負させる こと。 実施の詳しい進め方は 第8章 Lesson 4 で扱います。ここでは「迷ったら数字に聞く手段がある」と覚えておけば十分です。
コピーや見出しは、センスがある人だけの世界に見えがちです。 でも本当に効くコピーは、ひらめきではなく「目的に直結しているか」「競合に置き換えても成立しないか」という地味な確認の積み重ねから生まれます。 最初から名コピーを書けなくても大丈夫です。 まずは手元の原稿を、この記事の問いに沿って一度見直してみるところから始めれば、コピーを見る目は少しずつ育っていきます。