用語集A〜Z

UX ハニカム

基本的な意味と 7 つの構成要素

情報アーキテクチャの専門家 Peter Morville が提唱した、UX(ユーザー体験)を評価・設計するための7 つの軸を蜂の巣型に配置したフレームワーク。中央に「Valuable(価値がある)」を据え、それを取り囲むように残り 6 つを配置する形で図示されることが多い。

  • Useful(役に立つ):ユーザーのニーズや課題を解決できているか。
  • Usable(使いやすい):迷わず直感的に操作できるか(UI(UI / UX)の分かりやすさ、フォームの入力しやすさ等)。ユーザビリティの観点。
  • Desirable(魅力的):デザインやトーン&マナーが感情に訴えかけ、ブランドを好きになるか。
  • Findable(見つけやすい):サイト内で目的のページにすぐ辿り着けるか(ナビゲーション・検索機能)、外部から見つけやすいか(SEO)。
  • Accessible(アクセシブル):障害の有無や利用環境(スマホ・PC)に関わらず利用できるか(コントラスト比、alt 属性など)。アクセシビリティの観点。
  • Credible(信頼できる):安心して利用できるか(運営者情報の明記、セキュリティ対応、E-E-A-Tの担保など)。
  • Valuable(価値がある):上記すべてを満たし、最終的にビジネスとユーザー双方に利益をもたらしているか。

現場における核心:偏りの発見と競合ベンチマーク

核心は、これが単なる概念図ではなく「体験の偏りを発見し、戦略を立てるための診断ツール」だという点。多くのサイトは「Useful / Usable(機能と使いやすさ)」にばかり投資が偏り、「Desirable / Credible(魅力や信頼)」が抜け落ちがち。実務ではこの 7 軸をレーダーチャート化し、自社と「競合他社」のスコアを重ね合わせることで、「競合は使いやすさに特化しているから、自社は信頼性と魅力で差別化(差別化戦略)しよう」といった客観的な戦略立案が可能になる。弱い軸から優先的に強化していくことで、UX 全体の底上げにつながる。

Web 担当者が陥りやすい落とし穴とリアルな対策(組織の壁)

  • 「UX =使いやすさ」という狭い解釈の罠:担当者自身が UX を「単なる UI の使いやすさ(Usable)」と勘違いし、信頼性や魅力の評価を見落としてしまうこと。
  • 経営層・クライアントの思い込みへの対抗:上層部から「もっと UX を良くして(=ボタンを大きくして)」と表層的な指示が飛んできた際、担当者はこのハニカム図を提示して「使いやすさは合格点だが、『信頼性』と『見つけやすさ』がボトルネックなので、UI ではなくコンテンツを見直すべき」と論理的に説得(軌道修正)する強力な盾として使う。

言葉をよく利用する人

  • Web 担当者(発注側)
  • デザイナー
  • プロデューサー
  • ディレクター

会話上での使用例

UX改善の着手点をプロデューサーと検討している場面

  • プロデューサー
    UXを良くしたいんだけど、どこから手をつけるのが正解なんだろう。
  • Web担当者(発注側)
    UXハニカムの7つの軸で一度自社サイトを採点してみませんか。役に立つ、使いやすい、魅力的、信頼できる、といった観点を並べると弱いところが見えるので、低い軸から優先的に強化していけます。
  • プロデューサー
    感覚じゃなくて軸で測れるのはいいね。やってみよう。

若手社員にUXの見方を教えている場面

  • 若手
    UXって、具体的に何を見ればいいのか分からなくて。
  • Web担当者(発注側)
    UXハニカムの7軸を覚えると視点が一気に広がりますよ。使いやすさだけがUXだと思われがちなんですが、信頼できるか、魅力があるか、ちゃんと価値があるか、そういうところまで含めて見るんです。

関連 Lesson(本書本文)

Lesson 4-1 デザインを判断する軸