ブランドカラー
概要とマーケティングにおける役割
企業や商品の世界観を表現する「基準色」。Web サイト・印刷物・パッケージ・名刺・SNS など、あらゆる顧客接点で一貫して使うことでブランド認知を強力に高める。ロゴと一体で語られることが多く、「ロゴカラー=主要ブランドカラー」とする企業も多い。
現場における「決め方」のセオリー
配色の基本は、メイン / サブ / アクセントの「3 段構成(メイン / サブ / アクセントカラー)」で組むこと。(※ Web サイトの場合、アクセントカラーは「CV ボタン(コンバージョン)」に使われることが多いため、メインカラーに埋もれない目立つ色を選ぶ実務的配慮が必要)。
Web 担当者の役割は、具体的な色味の調整(デザイン作業)ではなく、「自社らしさ・業界の慣習・ターゲットとの相性」をディレクションすることにある。社長の「青が好き」といった個人の好みで決めるのではなく、ペルソナへの訴求力や競合との比較(ポジショニング)を根拠に決定する。
デザイナー・業者と詰めるべき「設計の論点」
- 競合との差別化:競合と被らない色か(BtoB SaaS は青系・グリーン系が氾濫、医療系は青、食品系は赤・オレンジが定石など、業界の文脈を踏まえる)。
- アクセシビリティ:文字色と背景色のコントラスト要件(WCAG 基準の AA = 4.5:1 以上)を満たしているか。また、ダークモード対応時のカラーパレットはどうするか。
- メディア横断の再現性:Web 上の「RGB」だけでなく、印刷時の「CMYK」再現性や、グッズ制作時の「Pantone 番号(特色)」での管理など、立体的な色設計ができているか。
※これらを「ブランドガイドライン」としてカラーコード(HEX 値など)と共に明文化し、関係者全員に共有することが運用の鍵となる。
やってはいけない「現場の落とし穴」と失敗談
- 根拠なき決定(HiPPO と主観):経営層の個人の好みだけで決まる、あるいはデザイナーが「綺麗だから」というマーケティング根拠のない理由で提案してくる。
- Web 特有の視認性無視:明るすぎるロゴカラーをそのまま Web のテキストやボタンに使い、コントラストが取れず全く読めない(※ Web 専用の微調整版カラーを作るべき)。
- 認知の分散:部署ごとに複数色を多用してブランド認知が散る、またはコーポレートカラーと SNS 運用でのトーン&マナーが揃っていない。
- 資産の破壊:サイトリニューアルを機に「心機一転」と安易にブランドカラーを変えてしまい、長年培ってきた顧客の認知(〇〇色といえばあの会社、という記憶)を完全にリセットしてしまう大事故。
言葉をよく利用する人
- デザイナー
- Web 担当者(発注側)
- 広報
- 経営層
- ディレクター
会話上での使用例
業者から複数のブランドカラー案を提示された場面
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業者デザイナー
ブランドカラーの案を3つ持ってきました。Aが青、Bが緑、Cがオレンジです。
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Web担当者
直接競合5社を調べたら、3社が青、2社が緑なんです。位置取りとしてはオレンジを取りに行く方向で検討させてください。あと、コントラスト比4.5対1を確保した色味で、3案出し直してもらえますか。
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業者デザイナー
なるほど、競合との差別化ですね。アクセシビリティも満たす形で出し直します。
リニューアルを機にブランドカラーを変えたいと言われた場面
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経営層
今期からブランド刷新で、ブランドカラーを青から赤に変えようと思う。
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Web担当者
色を変えると、これまで積み上げた顧客の認知資産が一度リセットされてしまうんです。刷新の目的と効果の見込みを社内で擦り合わせたいです。ロゴや名刺、SNS、印刷物すべての切替コストも見込んで、半年から1年かけて移行する形にしましょう。
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経営層
認知資産か。なるほど、影響を整理してから進めよう。