用語集は行

ポジショニング

市場・業界の中で、自社が「どの位置」を取るかを示す戦略的な立ち位置のことです。「誰の・どんな課題に対して・どんな手段で・どう差別化して」価値を提供するかを明文化したものであり、Web サイト全体の方向性(トップページのキャッチコピー、メインビジュアルIA=情報設計、KGI=最終目標、SNS での語り口(ブランドトーン)など)を根底から決める「すべての起点」になります。

現場での設計原則:4 つの問いとポジショニングマップ

基本は以下の「4 つの問い」で自社の立ち位置を言語化します。

【何を / 誰に / どう感じてもらって / どう行動してもらうか】

サイトのトップビジュアルや見出しコピー、主要な CTA(お問い合わせ等の行動喚起ボタン)は、すべてこの 4 つの問いから直接逆算して作られます。

設計実務では、競合を配置した「ポジショニングマップ(十字の 2 軸で 4 象限に分けた図)」を作り、空きスペースを探します。ここで「価格」と「品質」を軸にすると単なる直線になってしまうため、「専門性 vs 汎用性」「スピード vs カスタマイズ性」など、どちらも正解になり得る 2 軸を設定するのがコツです。直接的な競合だけでなく、間接競合や代替手段も配置することで、本当の差別化軸(空白の象限)が見えてきます。

実務でのポイントと社内調整の武器

ポジショニングは、社内の営業へのヒアリングと、実際の顧客インタビューの両面から事実(ファクト)で裏付ける必要があります。

そして最も重要な鉄則が、「制作会社にデザインやワイヤーフレーム(WF / ワイヤーフレーム)(画面設計)を依頼する前に、このポジショニングの 1 枚ペーパーを社内(特に役員や経営層)で完全に固め切ること」です。これがあると上層部との会話が圧倒的に早くなり、後工程での手戻りを最小化する最強の防波堤になります。

現場でよくある「痛い失敗」と落とし穴

  • コモディティ化への転落:競合と全く同じ象限に陣取ってしまい、「うちの方が少し安い」「うちの方が少し品質が高い」といった、他社と違いがない(コモディティ)不毛な訴求に陥ってしまう。
  • 抽象語への逃げ:「お客様第一」「トータルソリューション」のような誰でも言えるフワッとした言葉で満足してしまい、具体的なサイト設計やコピーに全く落ちてこない。
  • 最悪の予算の無駄遣い:事前の社内合意(根回し)をサボった結果、制作会社にデザインを発注した後に「やっぱりうちの強みはそこじゃない」と社長にひっくり返され、膨大なやり直し費用と時間が発生する。
  • 定期的な見直しの欠如:市場環境や競合が変わっているのに、3 年前に作ったポジショニングを更新せず使い続け、ユーザーのニーズからズレてしまう。

言葉をよく利用する人

  • 経営層
  • マーケター
  • Web 担当者(発注側)
  • ディレクター
  • 広報

会話上での使用例

業者ディレクターにトップビジュアルの方向性を伝える場面

  • 業者ディレクター
    トップビジュアルの方向性ですが、温かみのある系統と先進的な系統、どちらがよいですか。
  • Web 担当者
    ポジショニングのマップで見ると、競合はみんな先進的で無機質な象限に集まっているんです。うちは先進感を保ちつつ温かみのある空白の象限を取りに行きたいので、人物や手書きの要素を入れる方向で。
  • 業者ディレクター
    承知しました。そのポジショニングを一枚にまとめて共有いただけると、サムネ案を複数作るときの基準にできます。

営業とWebで訴求の言葉が食い違っていた場面

  • 営業
    サイトの業界一の専門性っていう訴求、正直現場では使ってないんですよ。お客さんには導入が楽、っていうのが一番刺さるんです。
  • Web 担当者
    それはポジショニングを社内で合意し直したほうがいいですね。営業さんとマーケと経営の 3 者で次の議題にしましょう。サイトの言葉と現場の言葉がずれたままだと、CV が伸びないんです。

関連 Lesson(本書本文)

Lesson 2-1 サイトの目的を言語化する