ベンチマーク
概要と Web マーケティングにおける定点観測
業界の標準や直接競合の数値を基準(指標)として設定し、市場における自社の立ち位置を客観的に測る手法。
Web サイトの運用では、月間 PV・セッション数、主要キーワードの検索順位、コンテンツ量、サイトの表示速度、SNS フォロワー数、広告出稿量、被リンク数、更新頻度などを定点観測する。
現場の核心:市場の波に飲まれないための「競合相対」視点
運用において最も重要な勘所は、「自社の数字 1 つだけ」を追いかけず、常に「競合相対」で見る習慣をつけること。
自社の数字の伸びだけを見ていると、市場全体(業界のトレンド)が伸びているだけの時に「自分たちの施策の成果だ」と勘違いし、逆に市場全体が縮んでいる(閑散期など)時に「担当者の努力不足だ」と経営層から過剰に責められる悲劇が起きる。サイト企画段階で直接競合数社をベンチマークし、リニューアル後も四半期に 1 回更新して比較し続けることが、KGI / KPIの現実的でブレない設定に直結する。
実務における調査ツールと運用フロー
定番の運用フローは、スプレッドシートに「指標 5 列 × 競合数行」で並べ、月次・四半期で更新していくこと。実務では以下のツールを組み合わせて数値を丸裸にする。
- アクセス・流入経路:SimilarWeb
- SEO・キーワード・被リンク:Ahrefs / Semrush
- 過去サイトの変遷:Wayback Machine
- 技術的スコア(速度・アクセシビリティ等):PageSpeed Insights / Lighthouse
- SNS の勢い:各 SNS の公開数字(フォロワー数・投稿頻度)
やってはいけない「現場の落とし穴」と防衛策
- 推計値と実データの混同(絶対値としての共有):SimilarWeb などの外部ツールが出す PV 数はあくまで「推計値」である。これを自社の GA4(正確な実データ)と単純比較すると数字の前提が狂う。※比較表を作る際は「競合も自社も同じ外部ツールの推計値」で揃えて相対評価として社内共有すること。
- 取って満足(手段の目的化):数字を表に埋める作業だけで満足してしまい、「なぜあの競合は流入が多いのか?(勝因分析)」を深掘りせず、自社の打ち手(施策)に繋げない。
- KPI の見直し放棄:ベンチマークだけは律儀に更新しているのに、自社の目標(KPI)が実態と乖離していても修正を行わない。
- 異常値の勘違い:競合がたまたま炎上や単発のバズを起こしただけ(一過性)の跳ね上がりを、恒常的な実力値だと勘違いする。
- 的外れな比較による疲弊:業界やビジネスモデルが全く違う超有名サイトと比べて「うちはダメだ」と落ち込んだり、上層部が競合の数字だけを社内で煽り立てて現場の担当者を無駄に疲弊させる。
言葉をよく利用する人
- マーケター
- Web 担当者(発注側)
- SEO 担当者
- アクセス解析担当
- 経営層
会話上での使用例
経営層から自社サイトの数字が業界比でどうか問われる場面
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経営層
うちのサイトの月間 PV、業界の中ではどのあたりにいるんだ。
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Web 担当者
直接競合 5 社でベンチマークを取っていまして、その中だと上から 3 番目です。1 位の半分くらい、下位 2 社の 1.5 倍ほど。ただ SimilarWeb の推定値なので、おおよその桁感として見ていただければ。
リニューアル後のKPIを競合相対で決めようとマーケターと話す場面
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マーケター
次期の KPI ですが、半年で月間 PV を倍増、という目標にしたいんですが。
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Web 担当者
競合のベンチマークを見ると、業界平均が同じ期間で 1.2 倍ほどの伸びなんです。なので倍増はかなり厳しめで。業界の伸び分に自社施策の上乗せを足して、プラス 50 パーセントくらいに置くほうが現実的だと思います。