用語集さ行

設計思想ドキュメント

Web サイト全体に対して、「なぜそう作ったのか」という決定の背景(理由)を継続的に記録しておく資料のことです。コードのコメントが「何をしたか」を残すのに対し、こちらは「なぜしたのか」を残す点が重要です。

作成する狙いとメリット

担当者や制作会社(業者)が入れ替わっても「過去の判断理由」を引き継ぎ、サイトがツギハギ状態(継ぎ接ぎ化)になるのを防ぐための命綱です。新しい制作会社に最初に渡すことで、過去の前提を踏まえた質の高い提案を引き出しやすくなります。

主な記録項目(何をドキュメントに残すか)

Notion や Google Docs などで作成し、半期に 1 回見直すのが理想です。

  • ターゲット仮説:誰に向けて(ペルソナ)、どんな立ち位置(ポジショニング)で作ったか
  • 主要 CV(成果)経路:お問い合わせや購入への導線を「なぜその配置にしたか」
  • 情報構造(IA)とデザイン:サイト構成やブランドカラーを「なぜそのルールにしたか」
  • 技術選定と SEO 戦略:「なぜ WordPress を選んだか」「どのキーワードを主戦場にしたか」
  • 運用ルール:更新フローや、過去の重大な変更経緯

よくある落とし穴(注意点)

  • 「なぜ」が書かれていない:内容が表面的で、一番重要な「判断の背景」が抜けている。
  • 組織で共有されない:担当者個人のメモになっていたり、外部業者に依存して契約終了時にデータが消えたりする。
  • ルールを「聖典化」してしまう:一度決めた設計思想に固執し、市場やビジネスの状況変化に対応できなくなる。

言葉をよく利用する人

  • Web 担当者(発注側)
  • プロデューサー
  • ディレクター
  • デザイナー
  • コーダー / フロントエンドエンジニア

会話上での使用例

業者を交代するにあたって引き継ぎ資料を渡す場面

  • Web担当者
    今回から担当が変わるので、これまでの設計思想ドキュメントをお渡しします。過去にどういう判断でこう作ったかをまとめてあります。
  • 業者ディレクター
    とても助かります。判断の理由が分かっていると、改修の方針がぶれずに済みます。三ヶ月後の進捗会議で、ドキュメントと現状がずれていないかの確認と、更新のご提案も合わせて出させてください。

まだ設計思想ドキュメントがなく、何から書けばよいか相談する場面

  • Web担当者
    うちにはまだ設計思想ドキュメントがないんです。作りたいんですが、何から手をつければいいでしょう。
  • プロデューサー
    最初は七項目くらいで十分です。ターゲット仮説とポジショニング、主要なCV経路の設計理由、ブランドトーン、技術選定の理由、SEOの主戦略、運用ルール。各項目一ページずつ、初版は七ページから始めて、半期ごとに広げていきましょう。

関連 Lesson(本書本文)

Lesson 8-5 サイトのバイタルチェック