明朝体
基本的な意味と役割
日本語フォントの代表的な分類の一つ。縦と横の線の太さに変化があり、横画の端に「うろこ」と呼ばれる三角の飾りが付くスタイルです。新聞や書籍など長文の紙媒体で読みやすいように発展してきた歴史があり、Web では伝統工芸、高級ブランド、コーポレートサイトなどで「格調高さ・信頼感・静的・文学的」な世界観を作りたい場合に多用されます。
※対義語として語られるのが、縦横の太さが均一でうろこのない「ゴシック体(モダン・カジュアル・動的)」です。
実務における設計ルール(スマホ時代の現実的な設計)
現場で最大の課題となるのが「スマホでの視認性」です。
スマホの小さな画面(12〜14px 程度の文字)で明朝体を使うと、特徴である「うろこ」や細い横線が潰れてしまい、かえって可読性が著しく低下します。そのため、現在の Web デザインでは「世界観を伝える大きな見出しには明朝体を使い、読ませる本文にはゴシック体を使う」というハイブリッドな使い分けが最も安全で現実的な選択となります。
Web フォント vs OS 標準フォントの決断
実務において、明朝体を Web で表示するには 2 つの選択肢があり、それぞれに重いトレードオフが存在します。ここを制作会社と早期に握ることが担当者の腕の見せ所です。
Web フォント(Noto Serif JP など)を配信する場合:
どの端末でも同じ美しい明朝体を表示できますが、日本語フォントは文字数が膨大(数万字)なためデータ容量が極めて重くなります。その結果、読み込み遅延やFOUT(代替フォントから Web フォントに切り替わる瞬間にレイアウトがガタッと崩れる現象)が発生し、ユーザー体験を損なうリスクがあります。導入時はエンジニアに「プリロード(事前読み込み)」や「サブセット化(使う文字だけを書き出して軽量化する技術)」の徹底を指示する必要があります。
OS デフォルトフォント(游明朝、ヒラギノ明朝など)を指定する場合:
データ読み込みが不要でサイトが爆速になりますが、Mac と Windows で表示されるフォントが変わります。「自分の Mac(ヒラギノ明朝)では美しかったのに、上司の Windows(游明朝など)で見たら線がかすれて安っぽく見えた」というクレームが頻発するため、OS 間の見え方の違いをあらかじめ許容できるかの社内合意が必要です。
Web 担当者が陥りやすい落とし穴(NG 事例)
言葉をよく利用する人
- デザイナー
- コーダー / フロントエンドエンジニア
- Web 担当者(発注側)
- ライター / コピーライター
会話上での使用例
老舗企業のリニューアルで、デザイナーとフォントを相談する場面
-
デザイナー
見出しに明朝体の游明朝、本文はゴシックのNoto Sans JPで組もうと思っています。
-
Web 担当者
いいですね。スマホで本文まで明朝だと読みにくいので、見出しだけ明朝で締めて、長い本文は読みやすさ優先でゴシックにしましょう。フォントは容量が大きいので、必要な文字だけ読み込むサブセット指定もお願いします。
スマホで明朝の本文が読みにくいと指摘が来た場面
-
Web 担当者
お客様から、スマホだと本文が読みにくいというご指摘をいただきました。
-
コーダー
本文の明朝体を、スマホのときだけゴシックに切り替えるよう対応します。見出しは明朝のまま残すので、ブランドらしい落ち着いた印象は保てますよ。