用語集A〜Z

MVP(Minimum Viable Product)

よみ: エムブイピー

「顧客に価値を提供できる、最小限の機能を持った初期プロダクト」のことです。「とりあえず動いて、最低限の体験ができる状態」でいち早く世に出し、ユーザーの実際の反応を見ながら改善していく開発手法を指します。

MVP の考え方(未完成品との違い)

初心者が陥りやすい誤解は、「車を作りたいから、まずはタイヤだけ作る」と考えてしまうことです。これではユーザーは移動(体験)できません。MVP の正しい発想は、「まずはスケートボードを作り、次に自転車、最後に車へと進化させる」ことです。Web サイト制作においても、「最初から全ページを作る」のではなく、「主要 5 ページ+問い合わせ」の最小セットで公開し、実際のアクセスデータを見ながら必要なページを足していく方が、結果的に成果の出るサイトに育ちます。

実務(見積もり・契約)への応用

  • 2 段構えの見積もり:最初から「フル仕様」で見積もりを取るのではなく、「MVP 範囲」と「フェーズ 2 の候補一覧」に分けて取得します。
  • データに基づく優先順位:MVP を公開して得られたデータ(学習)をもとに、フェーズ 2 で本当に必要な機能だけを実装することで、予算超過と仕様の膨張(あれもこれも病)を防げます(スコープ調整・フェージング(フェーズ分割))。

よくある落とし穴(注意点)

  • 機能を削りきれず、結局フル仕様と変わらない「中途半端に重い完成品」になってしまう。
  • 「MVP だから」と言いつつ、社内から完成形と同じ高い品質を要求され、制作側と衝突する。
  • ユーザーの反応を見るための「計測タグ」や「アクセス解析」を最初に入れ忘れてしまい、学習ができない。
  • フェーズ 2 の開発費用を事前に概算で握っておらず、後から業者の見積もりが大幅に跳ね上がる。
  • MVP 公開後、社内での「次どうする?」の合意形成が停滞し、そのまま放置される。

言葉をよく利用する人

  • Web 担当者(発注側)
  • プロデューサー
  • ディレクター
  • 経営層
  • マーケター

会話上での使用例

新サービスの LP をどこまで作り込むか方針を議論する場面

  • 経営層
    新サービスの LP、全機能をフル装備で作ろう。
  • Web 担当者
    MVP の発想で、まずは LP と資料ダウンロードと問い合わせの三点だけ先に公開して、反応を見ながら機能を足していきませんか。フル装備だと公開が二ヶ月遅れて、その間の機会損失のほうが大きくなってしまいます。
  • 経営層
    たしかにスピードは大事だな。では最小構成で先に出そう。

業者にフェーズ分けの見積もりを依頼する場面

  • Web 担当者
    見積もりは、フル仕様だけでなく、MVP の範囲と、フェーズ 2 の候補一覧の二段で出してもらえますか。
  • 業者ディレクター
    承知しました。MVP は最短で公開できるルートで、フェーズ 2 は公開後三ヶ月以内に着手したい候補としてまとめます。MVP から削った機能には、リスクのメモを添えておきますね。
  • Web 担当者
    助かります。削った機能の判断は、公開後の運用データで決めましょう。

関連 Lesson(本書本文)

Lesson 3-3 見積書の読み方