用語集あ行

オンプレミス

サーバやネットワーク機器を自社の施設内に物理的に保有し、自前で運用・保守する形態。「オンプレ」と略す。クラウド([[cloud]])や SaaS([[saas]])が「借りる」モデルなのに対し、オンプレミスは「持つ」モデル。機器の購入費・設置場所・電源・空調・保守要員まで自社が抱える代わりに、データを完全に自社管理下に置ける。金融・医療・官公庁や、社外にデータを出せない業務システムで根強く使われる。

本書のスタンス(Lesson 1-3)は「中小企業の Web サイトでオンプレミスを選ぶ理由はほぼない」。コーポレートサイトや EC はレンタルサーバ / クラウドで要件を満たせるのが大半で、わざわざ自社にサーバを置くと、初期投資・運用要員・災害対策・機器更改(5 年ごとの買い替え)の負担だけが重くのしかかる。オンプレミスが妥当になるのは「法令・社内規程で外部にデータを出せない」「既存の基幹システムと密結合している」といった明確な制約があるときに限られる。

判断軸は初期費用と月額のバランス・運用保守を誰が担うか・障害時の復旧体制(SLA [[sla]] を自社で背負えるか)・セキュリティ要件・拡張のしやすさ。クラウドとオンプレを併用する「ハイブリッド」(公開サイトはクラウド、機密データはオンプレ)も現実解として増えている。Web 担当者は「全部オンプレ」「全部クラウド」の二択ではなく、データの機密度ごとに置き場所を分ける発想を持つとよい。

落とし穴は、「自社で持つ方が安心 / 安い」という思い込みで安易にオンプレを選び、運用要員が確保できず塩漬けになること。ほかにも、機器更改の予算化を忘れて old OS のまま脆弱性を放置、保守業者依存で担当者がブラックボックス化、災害時にサイトもメールも全滅、クラウドより総保有コスト(TCO)が高くつくのに「資産だから」と移行判断を先送り、といった事故がある。新規構築・移管([[migration]])のタイミングでクラウドとの比較を必ず行う。

言葉をよく利用する人

  • 情シス
  • インフラエンジニア
  • 経営層
  • Web 担当者(発注側)
  • 法務 / 契約担当

会話上での使用例

経営層がオンプレ回帰を提案する場面

  • 経営層
    情報漏洩が怖いから、サイトもサーバを社内に置くオンプレミスにできないか
  • Web 担当者
    公開サイトをオンプレにしても、むしろ運用要員と災害対策の負担が増えてリスクは上がります。公開サイトはクラウド、機密データだけ社内管理のハイブリッドが現実的です

基幹システム連携でオンプレ要件が出る場面

  • 情シス
    在庫データは社外に出せない規程なので、その部分は オンプレミスで残したいです
  • Web 担当者
    承知しました。では在庫はオンプレ、サイト本体はクラウドに置き、API 連携でつなぐ構成にしましょう。SLA と障害時の切り分け責任を両者で文書化しておきます

関連 Lesson(本書本文)

Lesson 1-3 ドメインとサーバの基礎