用語集A〜Z

PPM 分析

概要と 4 つの象限

ボストン・コンサルティング・グループが提唱した、事業や製品を「市場成長率 × 相対的市場シェア」の 2 軸で 4 象限に分類し、投資配分を決めるためのフレームワーク(Product Portfolio Management)。

  • 花形(Star):成長率もシェアも高い(積極投資でシェア維持を狙う)。
  • 金のなる木(Cash Cow):成長率は低いがシェアが高い(利益の源泉。維持中心で利益を他へ投資)。
  • 問題児(Question Mark):成長率は高いがシェアが低い(追加投資で「花形」に育成するか見極める)。
  • 負け犬(Dog):成長率もシェアも低い(撤退・縮小の検討対象)。

Web 担当者の現場における投資判断の軸

Web 担当者にとっては、自社が持つ複数のサイト・ブランド・サービス・SNS アカウント等のうち、「どこに Web 予算とリソースを厚く投下するか」の判断材料となる。

基本的な思考の流れとして、「金のなる木」のサイトは現状維持(保守・更新中心)に留め、そこで生み出された利益を「花形」や「問題児」のサイトへの積極投資(新規コンテンツ作成や広告費)に回す。「負け犬」は撤退や統合を検討する。この手法は、Web 予算を「更新(保守)予算」と「新規(攻め)予算」に分けて考える発想と非常に相性が良い。

やってはいけない「現場の落とし穴」と防衛策

  • マトリクスの盲信と機械的な判断:PPM はあくまで一面的な見方である。市場シェアが低くても、独自情報が強いニッチ領域や、ブランド戦略上手放せないサイト(ファンコミュニティなど)を「負け犬だから」と切り捨ててはいけない。
  • 見えない Web 資産の喪失:「分析結果通り」に負け犬象限のサイトを単純に閉鎖・削除してしまうと、長年蓄積された「ブランド資産」だけでなく、「ドメインパワー」や「被リンク」といった SEO 上の強力な見えない資産まで消滅してしまう。※撤退する場合も、単純な閉鎖ではなく「301 リダイレクトでメインサイトに統合し、SEO 評価を引き継ぐ」などの Web 特有の戦略が必要。
  • 担当者の独断:サイトの撤退・統合は事業そのものに関わる「経営判断の領域」である。PPM 分析はあくまで経営層との議論の土台(コミュニケーションツール)として使い、Web 担当者が単独で決裁・実行に動くべきではない。

言葉をよく利用する人

  • 経営層
  • マーケター
  • Web 担当者(発注側)
  • プロデューサー

会話上での使用例

複数事業のサイト予算配分を経営層と相談する場面

  • 経営層
    A事業のサイト、来期は予算を削れないかな。
  • Web担当者
    PPM分析でいうと金のなる木の位置づけなので、維持運用に絞れば6割くらいまで圧縮できます。ただAI検索向けの構造化データ整備だけは残させてください。
  • 経営層
    わかった、そこは残す前提で削減を進めよう。

新ブランドの立ち上げサイトの投資方針をマーケターと決める場面

  • マーケター
    新サービスのLP、どれくらい予算をかけるべきでしょう。
  • Web担当者
    PPM分析でいう問題児の象限ですね。まずはリサーチに3割ほど回して、当たりが見えたら一気に積み増す設計にしておくのが安全だと思います。

関連 Lesson(本書本文)

Lesson 8-3 更新計画と予算