PSM 分析
Price Sensitivity Measurement(価格感度測定)の略。オランダの経済学者ピーター・ヴァン・ヴェスタンドープが 1976 年に提唱した、顧客のアンケート結果から「受容価格帯(受け入れられる価格の幅)」と「最適価格」を論理的に導き出すリサーチ手法です。
顧客に対して以下の 4 つの質問を行い、その回答を累積グラフにして交点を結ぶことで価格を割り出します。
- 安すぎる:品質に問題があるのではないかと不安になる価格。
- 高すぎる:どんなに魅力でも絶対に買わない(高くて払えない)価格。
- 安い:お得だ(買いたい)と感じる価格。
- 高い:少し抵抗はあるが、買わないわけではない価格。
運用の要点:Web 担当者の関わり方と「必要サンプル数」のリアル
Web 担当者にとっては、サブスクリプションの月額決定、料金ページの価格設計、A/B テストでの価格訴求バリエーションなどでこの概念が登場します。直接価格を決める権限がなくても、「PSM 分析用のアンケートフォームの実装」などで関わることが多々あります。
現場で絶対に押さえておくべきなのは、PSM 分析は数字で客観的な議論ができる反面、「最低でも 100 件以上(理想は数百件)」のサンプル数が前提になるという点です。中小企業が既存顧客 20 名(n=20)に聞いて作ったグラフはノイズが多く、意思決定の根拠には弱すぎます。小規模な場合はアンケート結果を鵜呑みにせず、実際の LP(ランディングページ)で「A パターン:4,980 円」「B パターン:5,980 円」の A/B テストを回し、実際の購入意向(CVR)のデータを見る方がよほど強力な判断材料になります。
現場でよくある「落とし穴」
リサーチ結果の「上限」に目が眩むと、成約率を大きく落とします。
- 「上限価格」への過信が招く CV 激減の悲劇:グラフから導き出された「受容価格帯(顧客が拒否しないギリギリの価格)」の上限を見て、担当者や経営層が「データが証明している!この最高値で売ろう!」と強気な価格設定をしてしまう。しかし受容価格帯とはあくまで「高すぎて絶対買わないわけではない(拒否されない)範囲」に過ぎません。これを「成約率が最大化する価格」と勘違いして上限価格に設定した結果、実際の Web サイトでは見込み客が購入をためらい、CVR(成約率)が半分以下に急降下。顧客単価は上がったのに、全体の売上・利益は大幅に下がるという本末転倒な事態に陥ります。
言葉をよく利用する人
- マーケター
- 経営層
- Web 担当者(発注側)
- アクセス解析担当
会話上での使用例
新サービスの料金ページの価格をマーケターと詰める場面
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マーケター
料金は税別9800円で行きたいと考えています。
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Web担当者
PSM分析の結果だと、最適価格は12000円付近に出ているんです。LPの見せ方を品質訴求に振れば、9800円より高くても受け入れられそうですよ。
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マーケター
では品質を前面に出す構成で価格も見直しましょう。
値上げできるかどうかを社内で議論する場面
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経営層
5000円から6000円に値上げしても大丈夫だろうか。
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Web担当者
PSM分析では受容範囲に収まっています。ただ受容範囲は拒否されない価格というだけなので、最終的にはA/Bテストで実際の購入率を見てから決めるのが安全です。