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第2章 Lesson 2-3 / 読了 約11分

競合サイトの調べ方 テンプレに頼らず、穴があくほど観察する

この記事でわかること

  • 競合分析の本当の目的(真似ではなく「どう競争するか」を決めること
  • 競合を 直接・間接・ベンチマーク の 3 種類に分けて集める考え方
  • テンプレに埋める前に 競合を穴があくほど観察 する進め方
  • 観察に使う 4 つの軸(流入・ユーザー・見せ方・感じさせ方
  • 観察から 「どこで差を出すか」 を導き、自社のポジションを決める手順
  • 「真似する」と「学ぶ」 の違い

Lesson 2-1 で「目的」、2-2 で「ターゲット」を固めました。 次は「自社をどこに位置付けるか」を決めるための競合分析です。 でも本書では、よくある「比較表を埋める作業」とは違うやり方を提案します。 最初の数時間は、ひたすら観察に使ってみましょう。

1. 競合分析の目的を、まずハッキリさせる

1-1. 「真似する」ためではない

競合を見るのは、真似するためではありません。 そこが入口だと、競合の良いところを写すだけで終わってしまい、自社のサイトが「劣化コピー」になります。 競合がやっていることは、競合の事情と戦略から出てきたものです。 そのまま自社に持ってきても刺さりません。

1-2. 本当のゴールは「どう競争するか」を決めること

競合分析のゴールは、自社のポジションを決めること です。 競合の戦略を理解した上で、「自社はどこで戦うか」「どこで差を出すか」「どこは戦わないか」を決めます。 模倣ではなく、戦い方の設計。 この視点で見ると、競合サイトの見え方が変わります。

1-3. 目的を見失うとただのサイト見学になる

目的を見失うと、競合分析は「いいサイトでしたね」「凝った作りでしたね」で終わります。 社内の打ち合わせで「ベンチマーク 10 サイト見ました」と報告しても、それで何かが決まるわけではありません。 せっかく時間をかけるなら、何かが決まる競合分析にしたいところです。

2. 競合は 3 種類に分けて集める

「競合」を一括りにせず、3 種類に分けて集めると整理しやすくなります。 それぞれの役割が違うからです。

2-1. 直接競合

同じサービスや製品を、同じ顧客に向けて提供している会社です。 最もよく比較される存在で、観察の中心になります。 各 3〜5 サイトを目安に集めてみましょう。

2-2. 間接競合

違うサービスを提供しているけれど、顧客の 時間や予算 を奪い合う関係にある会社です。 たとえば家事代行と高機能家電は、商材は違えど「家事の負担を減らしたい」予算を奪い合います。 間接競合の存在を見落とすと、本当の競争相手が見えません。

2-3. ベンチマーク

業界外でも、参考にしたい優良サイトをベンチマークとして集めます。 「同じ業界では珍しいけれど、別業界ではこういうやり方がある」という発見の源泉になります。

集めるとき注意したいのが、自社と同規模帯のサイトを中心にする ことです。 大企業の凝ったサイトばかり見ると、自社の規模では実現不可能な事例ばかり集まります。 観察の参考にならない競合は除外して構いません。

3. 競合の探し方

競合を集める手段は複数あります。 一つだけに頼らず、複数を組み合わせると見落としが減ります。

  • Google 検索:自社のターゲットが打ちそうなキーワードを実際に検索して、上位表示されている会社をリストアップ
  • 業界団体・展示会・取引先:業界に詳しい人のネットワークから紹介してもらう
  • SimilarWeb 等のツール:無料範囲でも、競合のトラフィック傾向がざっくり把握できる
  • 営業からの情報収集:「他社と比較された」「乗り換えで来た」声を営業から聞く

4. テンプレに頼らず「穴があくほど観察」する

4-1. テンプレに早く落とし込もうとしない

競合分析というと、すぐに比較表(エクセルの一覧)を作りたくなります。 でも、これが落とし穴です。 表を埋める作業に頭が持っていかれると、本質が見えなくなります。 表に書かれた項目を埋めることに集中して、その外側にある重要な気付きを取りこぼすのです。

4-2. 各競合サイトを 30 分以上「ユーザーになりきって」触る

まず、各競合サイトを 30 分以上 じっくり触ってみましょう。 スマホで・PC で、初訪問の気持ちで、実際にサービスを検討する立場で。 時間をかけて触ると、表面的な印象ではなく、サイトの動線・戦略・配慮が見えてきます。

4-3. 観察ノートはフリーフォーマット

観察中はメモを取りますが、フォーマットは決めずにフリーフォーマットで書くのがおすすめです。 気づいたことをそのまま書き留めるだけです。 表に押し込もうとすると、感じたことが切り捨てられます。

4-4. 「見たこと」と「感じたこと」を分けて書く

観察ノートで意識したいのは、事実と解釈を分ける ことです。 事実:「ファーストビューに大きな商品写真、右上に CTA ボタン、コピーは 12 文字」。 解釈:「高級感がある、専門性が高そうに見える、急かされない印象」。 両方書きますが、必ず分けて書きます。 後でレビューするとき、自分の主観と客観をすぐ区別できる状態にしておきます。

4-5. 比較表は観察の後に作る

観察ノートが揃ったら、ようやく比較表に整理します。 順番は 観察 → 整理 → 表化。 この順序を逆にしないのが大切です。 表化はあくまで最後の整理ツールであって、観察そのものではありません。

5. 現場で見る 4 つの観察軸

観察するときに使う 4 つの軸を紹介します。この 4 軸で見ると、サイトの動線設計を逆算で見抜けます。

5-1. 軸 1:どんな流入で人を獲得しているか

SEO / 広告 / SNS / 直接アクセス / 被リンク — 競合がどこから人を集めているかを推測します。 SimilarWeb・Search Console・ahrefs の無料範囲、SNS の投稿頻度や反応数から、おおまかな流入構造が見えます。 「主力チャネルはどこか」「副次的なチャネルは何か」を仮説立てしてみましょう。

5-2. 軸 2:どんなユーザーを獲得しているか

サイトを見ていると、ターゲットの解像度が見えてきます。 使われている写真、コピーの語彙、想定されている知識レベル、価格帯 — このあたりから「この競合は、誰に向けているか」を読み取ります。 自社のターゲットと一致しているか、ズレているかを判定する材料になります。

5-3. 軸 3:商材・サービスをどう見せているか

写真、コピー、配置、情報量、スペック表 vs 物語型 — 商材の見せ方を観察します。 スペックを並べる訴求なのか、ストーリーで魅せる訴求なのか、価格を前に出すか、価値を前に出すか。 各競合の戦略がここに現れます。

5-4. 軸 4:どう感じさせているか

サイト全体のトーン、つまり訪問者にどんな印象を残しているか。 信頼 / 高級感 / 親しみ / 専門性 / 革新性 / 安心感 — このあたりの軸で、サイトの「感情面の戦略」が見えます。 Lesson 2-1 の「どう感じてほしい」の問いと突き合わせると、自社と競合の感情訴求のズレが浮かびます。

この 4 軸での観察を、各競合サイトに 30 分ずつ充てると、サイトの動線設計を逆算で見抜く目が育ちます。

6. 観察から「自社との比較特性」を導く

6-1. 観察で見えてきた競合の戦略をリストアップ

1 競合あたり、5〜10 個の戦略要素をリストアップしてみましょう。 「ファーストビューでブランド世界観を出している」「料金表を出さず問い合わせ起点にしている」「事例コンテンツが豊富」「比較表を堂々と置いている」 — このような粒度です。

6-2. 自社と比較する

リストアップした戦略を、自社と比較します。 判定は次の 4 分類です。

  • 自社と同じ:既にやっている、差別化要素にならない
  • 違うが、戦えない:競合が強い領域、無理に戦わない
  • 違うが、上回れる:自社の強みが活かせる、ここで差を出す
  • 違うが、自社もやるべき:今やっていないが、追従する価値あり

6-3. シーンごとに比較手段を検討

H2-5 で観察した 4 軸ごとに、比較手段を考えます。 「流入で比較する手段は何か」「ターゲットで比較する手段は何か」「見せ方で比較する手段は何か」「感じさせ方で比較する手段は何か」。 シーンごとに分解すると、自社の打ち手が具体化します。

6-4. 「どこで差を出すか」を 1〜3 個に絞る

最後に、自社が差を出すポイントを 1〜3 個 に絞ります。 全部で勝とうとすると、かえって勝ちにくくなります。 主軸を絞って、そこに集中投資する。 これは Lesson 2-1 H2-3「主軸を 1 つに絞る」と同じ姿勢です。

テンプレ DL:観察ノート → 比較整理シート(本書のテンプレ集に収録予定。観察を整理する後段のテンプレ)

7. 「真似する」と「学ぶ」の違い

7-1. 真似する

そのまま使う、なぜ採用したかを確認しない、自社で意味を持たない — これが「真似する」です。 結果として、サイト全体がチグハグになります。 競合の事情から出た選択を、自社の事情にフィットしないまま持ち込むからです。

7-2. 学ぶ

「なぜ競合がそれを選んだか」を仮説立てして、自社の目的に合うものだけ持ち帰る — これが「学ぶ」です。 競合の判断軸を理解した上で、自社の判断軸で取捨選択する。 そうやって取り入れたものは、自社サイトの中で自然に機能します。

7-3. 必ず両方リストアップ

競合観察のアウトプットには、ぜひ両方をリストアップしておきましょう。 「学ぶ点 3 つ」と「真似しない点 3 つ」をセットで言語化します。 こうすると、「これは取り入れる」「これは取り入れない」が明確に分かれ、後の制作判断がブレません。

8. やってはいけない競合分析

  • デザインだけ見て真似する(目的が違うから刺さらない)
  • 業界トップの大企業ばかり見る(規模が違うので参考にならない)
  • 1 人で完結する(主観に偏る、必ず関係者と共有)
  • 1 回で終わらせる(競合も動いている、半年に 1 回見直す)

9. 競合分析を RFP に活かす

競合分析の成果は、Lesson 3-2 で扱う RFP(提案依頼書)にぜひ反映しましょう。 制作会社に渡す資料に「観察結果 + 何を学ぶか + 何で競争するか」を書き入れます。 こうすると、業者のイメージが揃い、提案がブレません。 競合観察を社内資料に閉じ込めず、外向きの資料に展開するのが効率的です。

競合分析は、最初は「ただサイトを眺めているだけ」に感じるかもしれません。 でも、目的を口に出して、ユーザーになりきって 30 分触り、見たことと感じたことを分けて書く — この観察を一社ぶんでも丁寧にやってみると、競合サイトの見え方が確実に変わってきます。 比較表はそのあとで十分です。まずは一社、穴があくほど観察するところから、気軽に始めてみてくださいね。