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第2章 Lesson 5 / 読了 約12分

サイトマップの作り方 — 情報が先、ゴールデンルートを通す

この記事でわかること

  • サイトマップとは何か、現場で混同される 3 種類の別物
  • ページより「情報」を先に整理する理由と、その 4 ステップ
  • トップから来ない時代の「ゴールデンルート」という考え方
  • 「3 階層以内」など階層・ナビのルールとのつき合い方
  • 見落としがちな必要ページと、サイトマップの育て方

第2章 Lesson 4 で KPI を決めました。 KPI を達成するには、それを支えるサイトの構造が必要です。 この Lesson では、サイトマップ(ページのツリー図)の作り方を扱います。 ただし、本書では「ページから入らない」やり方を提案します。 最初に整理するのは、ページではなく情報です。

1. 「サイトマップ」には 3 つの別物がある

最初に用語を揃えます。 「サイトマップ」という言葉は、現場で 3 種類の別物を指して使われます。 混同すると話が通じません。

設計図としてのツリー図

ページの構造を一望する設計図、これが本 Lesson で扱う「サイトマップ」です。 企画段階・要件定義段階で作成して、業者・社内関係者と共有します。 ここから先の説明は、すべてこのツリー図のことを指します。

訪問者向けの HTML サイトマップ

サイト上で公開する「全ページ一覧」ページのことです。 フッターからリンクされていることが多い、あれです。 本 Lesson では扱いませんが、別物として別途用意します。

検索エンジン向けの XML サイトマップ

検索エンジンに「このサイトにはこういうページがあります」と知らせる XML 形式のファイル(「sitemap.xml」)です。 SEO 対応の一環で第 6 章で扱います。 こちらも本 Lesson のスコープ外です。

用語の整理ができたら、本題に入ります。

2. 「ページ」より「情報」を先に整理する

ページと情報は別物

サイトマップを描くとき、いきなりページを並べたくなります。 でも、ここで少し立ち止まってみましょう。 ページは情報を入れる容れ物、情報は伝えたい中身 です。 どんな容れ物が必要かは、中身が決まってから決まる、というのが順序です。

情報が決まらないままページを並べる失敗

情報設計を飛ばしてページを並べると、現場では次のことが起こりがちです。 ページ数だけが膨らみ、何を載せるかが定まらず、業者にも意図が伝わらず、結局やり直し。 「とりあえずページを並べておこう」は、じつは大きな遠回りになりやすいのです。

情報から入る 4 ステップ

正しい順序は、次の 4 ステップです。

  • Step 1:何を伝えるかをすべて列挙 — 第2章 Lesson 1 の「4 つの問い」で書いた「何を」を、ここで詳細化します
  • Step 2:情報をグループ化 — 似たもの同士をまとめてカテゴリ化します
  • Step 3:各カテゴリをページ化 — 1 カテゴリ=1 ページとは限りません。量で分割・統合します
  • Step 4:ページ同士の関係を整理 — 階層・関連付け・動線を決めます

たとえば「採用強化」が目的なら、Step 1 で 募集要項・仕事内容・社員の声・福利厚生・選考フロー・よくある質問 を書き出し、Step 2 で「仕事を知る」「働く環境を知る」「応募する」の 3 グループにまとめ、Step 3 で分量に応じてページ化する、という流れになります。

3. 「人物」シリーズでたとえると

本書では、サイトを 「訪問者に話しかける一人の人物(自社)」 として捉えています。 その見立てでいうと、情報は、自社が訪問者に向けて話したい内容。 ページは、その内容を話す場面です。 同じ人(自社)が、立場(ページ)を変えて、違う場面で同じ「強み」(情報)を話す、というイメージです。

たとえば「自社の強み」という情報は、トップで一言、専用ページで詳しく、事例ページで具体的に — というように、複数の場面(ページ)で出すことになります。 同じように「料金の安心感」も、料金ページ・FAQ・事例と、場面を変えて何度も顔を出します。 情報とページが 1 対 1 で対応するのではなく、1 つの情報が複数のページで顔を出す のが自然です。 だから、まず情報を整理する。 場面は情報のあとで決まる。

4. トップから来ない時代の「ゴールデンルート」設計

検索流入は中ページから直接

昔のサイト設計は「トップ → 一覧 → 詳細」の流れを想定していました。 でも今は、検索流入の多くが 中ページから直接 です。 Google で検索して、特定の記事や製品ページに直接着地する。 検索・広告・SNS から、トップを通らずに下層ページへ直接入るケースも多くあります。 「トップから誘導する」設計だけでは、そうした入り方をした人を取りこぼしてしまいます。

ゴールデンルートとは

そこで本書が提案するのが、ゴールデンルート という考え方です。 どの入口ページから入っても、自然に CV(コンバージョン。問い合わせ・資料請求・購入などの成果)へ進める主動線、これがゴールデンルートです。 入口がトップでも、ブログ記事でも、料金ページでも、製品詳細でも、最終的に CV に向かう導線が設計されている状態を目指します。

代表的な入口ページを洗い出す

まず、代表的な入口ページを洗い出します。

  • SEO(検索からの集客)で狙うキーワードページ(集客の主力)
  • 広告 LP(ランディングページ=広告をクリックした人が最初に見るページ)
  • SNS でシェアされる想定のページ(拡散の起点)
  • 被リンクされやすいページ(他サイトから紹介されるページ)

入口ページごとに「期待される動き」を決める

入口ページの種類によって、訪問者の動き方は変わります。 それぞれに期待する動きを決めておきます。

  • その場で CV(LP 型):他のページに回遊させず、入口でクロージング
  • 1 ページ回遊して CV:製品ページから問い合わせフォームへ、のような短い動線
  • 数ページ回遊して CV:メディア記事 → 製品ページ → 問い合わせ、のような長い動線

どのページにも「次の一歩」を入れる

ゴールデンルートを成立させるには、どのページにも「次の一歩」 が用意されている必要があります。 関連リンク、CTA(行動喚起)、問い合わせフォームへの導線、関連記事 — 訪問者が次に行ける道が、必ず一つは見えていること。 行き止まりのページがあると、そこでゴールデンルートが切れます。

ゴールデンルートを図にしてサイトマップに重ねる

ゴールデンルートが見える化されたら、サイトマップ(ツリー図)の上に重ねます。 主動線が太く、副動線が細く描かれた状態にすると、業者にも社内にも「このサイトはどう動いて成果を出すか」が一目で分かります。

5. 階層とナビのルールとのつき合い方

「3 階層以内」は便利な目安、でも絶対ではない

Web の入門書で「サイトの階層は 3 階層以内」と教えるものが多くあります。 便利な目安ですが、絶対のルール ではありません。 情報量が多いサイトを 3 階層に押し込もうとすると、各階層に項目が並びすぎて、かえって探しにくくなります。

タイプ別の階層感

サイトタイプによって、適切な階層感は変わります。

  • コーポレート:浅く(2〜3 階層)
  • EC:深くて普通(商品カテゴリで 4〜5 階層もあり)
  • オウンドメディア:中庸(2〜3 階層 + タグ・カテゴリ)
  • ポータル:深くて普通

階層は「情報カテゴリの結果」

階層を先に決めてから情報を割り振るのではなく、情報整理の結果として階層が現れる のが正しい順序です。 先ほどの「情報から入る 4 ステップ」で整理した結果、自然と階層が決まります。 階層を先に固定すると、情報が階層に押し込まれて変形します。

クリック数の方が大事

階層が深くても、訪問者にとって問題になるとは限りません。 検索・パンくず(現在地を示すリンク)・関連リンクで 3 クリック以内に目的のページに着けるなら問題なし です。 階層数を減らすことに気を取られるより、クリック数とユーザー動線で見た方が、本当に使えるサイトになります。

ナビ項目数 5〜7 も目安

グローバルナビ(サイト上部などにある主要メニュー)の項目数も、「5〜7 がベスト」と言われがちです。 これも目安です。 モバイル時代はハンバーガーメニュー(三本線で開閉する格納メニュー)で隠せるので、絶対視しません。 PC で 9 項目並んでいても、項目同士の関係性が明確なら問題ないケースもあります。

6. 見落としがちな「必要ページ」7 つ

サイトマップ作成時に、新規ページの議論ばかりで埋もれがちな「必要ページ」を 7 つ挙げておきます。 後から追加すると手間がかかるので、最初から含めておくと安心です。

  • お問い合わせ完了画面(送信後の表示、サンクスメール送信のトリガーにも)
  • 404 ページ(リンク切れ時の救済)
  • プライバシーポリシー(個人情報を取得する以上、必須)
  • サイトマップ(HTML 形式の全ページ一覧)
  • 検索結果ページ(サイト内検索を実装する場合)
  • カテゴリ一覧ページ(オウンドメディア・EC など)
  • FAQ(問い合わせ前の不安解消、業務支援コンテンツとしても価値あり)

これらはゴールデンルートには直接乗らないことが多いですが、用意しておくと訪問者の信頼につながります。 特に 404 とプライバシーポリシーは、整えておきたいページです。

7. サイトマップを描くツール

サイトマップを描くツールに「これが正解」はありません。 自社が読み書きできるものを選ぶとよいでしょう。

  • Excel / Google スプレッドシート:慣れていれば最速。階層構造を行・列で表現
  • Miro / Figma / draw.io:共同編集に強い。ビジュアルで見やすい

選び方の目安は、「誰が使い、どう共有するか」 です。 更新担当が Excel に慣れているならスプレッドシート、会議で全体像を見ながら決めたいなら Miro / Figma、制作会社への共有が中心なら PDF 化しやすい形式、というふうに選びます。 業者が使うツールに無理に合わせる必要はありません。自社内で読み書きでき、関係者に共有できれば十分です。

8. サイトマップは「v1」で完成、運用で変わる

完成時のサイトマップは、あくまで 初版(v1) です。 運用が始まると、ページは増えたり減ったりします。 これは正常な状態です。 サイトマップは固定の完成物ではなく、運用に合わせて更新していく管理資料として扱うとうまくいきます。

そのために、更新ルールを最初に決めておきます。

  • 誰が更新するか
  • いつ更新するか(月次・四半期・大型改修のタイミング)
  • 何をきっかけに見直すか(新規ページ追加・廃止・大幅な構造変更)

リニューアル時には、サイトマップの 履歴 も重要です。 過去にどの構造だったかが残っていると、リニューアル方針の判断材料になります。

最後に、サイトマップ作成の流れをまとめます。 情報の棚卸し → グループ化 → ページ化 → 入口ページの確認 → CV までの動線(ゴールデンルート)を足す → 見落としがちな必要ページを追加 → 更新ルールを決める、の順で進めれば大きく外しません。

最初から完璧なサイトマップを描こうとしなくて大丈夫です。 まずは「何を伝えるか」という情報を書き出し、似たもの同士をまとめてみる。 その整理の延長線上に、ページの形とゴールデンルートが自然と見えてきます。 階層やナビのルールは、迷ったときに立ち返る目安として持っておけば十分です。 手を動かしながら少しずつ育てていけば、自社にとって本当に使えるサイトマップになっていきます。