アクセス解析(GA4 / Search Console) — サマリー第一、裏側の 4 領域まで月 1 で見る
この記事でわかること
- アクセス解析の基本姿勢(サマリー第一、掘り下げはきっかけ駆動)
- 2 つのよくある失敗(確証バイアス・分析に時間を使いすぎること)
- 最初に押さえる「フロー型」分析の 5 ステップ
- サマリーが綺麗でも裏で異常が進む 4 領域
- 業者にレポートを頼むときのコスト感
第6章 Lesson 4 まで SEO の話を進めました。 この Lesson は数字側、アクセス解析の話です。 本書のスタンスは「サマリーから入って、必要なときだけ深掘り」。 でもサマリーだけでは見えない裏側もあるので、その点もあわせて整理します。
1. アクセス解析の取り組み方 — サマリー第一、掘り下げはきっかけ駆動
まずはざっくりとしたサマリーを見る
アクセス解析の基本姿勢です。 まずざっくり全体感を掴んで、そこから必要なら深掘りします。 具体的には、月初に セッション数(サイトへの訪問のまとまり)・主要 CV(コンバージョン。問い合わせ・購入などの成果)数・流入チャネル別の比率 の 3 点を見るだけでも十分です。
気になる変動があったときだけ深掘りする
全部を毎月深掘りしないこと。 おかしな動きがあったときだけ、GA4(Google の無料アクセス解析)や Search Console(Google の検索状況確認ツール)で掘り下げます。
施策の効果検証は業者レポートで — ただし費用がかかる
施策ごとの効果検証は、第6章 Lesson 3 と同じく、業者にレポート作成を依頼するのが現実的です。 ただし、レポート作成は業者の作業負荷になるので追加費用が発生します。 実務では見落としやすい点ですが、無料でレポートが出てくるわけではない、と心づもりしておくと安心です。
2. サマリーは Looker Studio で「読めるように」しておく
Looker Studio とは
Looker Studio は、GA4 や Search Console の数字をグラフや表にまとめる、Google の無料レポート作成ツールです。 旧称の「データポータル」と呼ばれることもあります。 見やすいダッシュボードを 1 枚用意しておくと、毎月のサマリー確認が数分で済みます。
平時はサマリーを 5 分見るだけで OK
深掘りはきっかけ駆動で。 平時はサマリーを 5 分眺めるだけで十分です(見る項目の一覧は、この後の 9 でまとめます)。
構築は業者に依頼、担当者は「読めて・動ける」状態に
担当者がゼロから作り込む必要はありません。 ただし、各数字が何を意味し、増減したときに誰へ確認するかは把握しておきます。
3. よくある失敗1 — 都合の良い結論に数字を結びつけてしまう
確証バイアスの罠
自分の仮説に都合の良い数字だけ拾う、というのが確証バイアス(見たい結論に合う情報ばかり集めてしまう心理の偏り)の典型です。
たとえば 悪い例:「あの記事は成功した」と言いたくて、伸びた指標だけを資料に貼る。 良い例:「成功したか?」を検証するために、CV 数・滞在時間・離脱率を、良い数字も悪い数字もそろえて並べる。 後者は、結論より先に「見る指標」を決めているのがポイントです。
自分の判断を正当化する数字を後から探す
これは「分析」ではなく「正当化」になってしまいます。 順序を逆にしないよう気をつけたいところです。
なぜ起きるか
- 上司への説明、社内政治、自己防衛
- 「あの施策は成功した」と言いたい
防ぐ手
- 仮説を立ててから数字を見る順序を守る
- 反対の仮説も検証する
- 第三者(業者・上司・他部門)に数字を見せてフィードバック
- 数字 = 客観的、解釈 = 主観的、を意識して分ける
4. よくある失敗2 — レポート作成・閲覧に時間を使いすぎる
- レポート作成自体が目的化
- 数字を見ることに時間を割きすぎ
- 本来すべきこと(コンテンツ改善・施策実行)がおろそかに
- 「分析の時間」と「実行の時間」のバランスを意識する
- データポータルのサマリーで、分析時間そのものを最小化する
5. 最初に押さえる「フロー型」分析
- Step 1:セッション数(全体感)
- Step 2:どのチャネル × どんなキーワードで来ているか(入口の理解):チャネル(流入経路。検索・SNS・広告・直接・参照)、キーワード(Search Console)
- Step 3:ユーザーがページ内をどう動き回ったか(行動):主要 LP(最初に着地するページ)の到達率、回遊ページ、エンゲージメント時間(ユーザーが実際に見ていた時間)
- Step 4:どこにたどり着こうとしたか(意図):CV 直前のページ、離脱ページ
- Step 5:ゴールデンルート(第2章 Lesson 5)とのギャップは何か:想定した動線と実際の動線の差。このギャップが改善ポイントです
6. サマリー中心の落とし穴 — 4 領域は裏側で必ず確認する
「サマリー第一」は効率的な見方ですが、サマリーは構成要素を均してしまう ぶん、その裏で異常が進行することがあります。計測不備・セグメント差・チャネルごとの温度差・CV 定義のズレ の 4 領域は、サマリーが綺麗に見えていても土台が崩れている代表例です。月次のサマリー 5 分とは別に、この 4 領域だけは別建てで月 1 回確認する のが、担当者として最低限の責務です。
落とし穴 1 — 計測不備(数字そのものが正しくない)
- 症状の例:本番 GA4 にタグ未実装 / 開発用タグが本番に残存 / サンクスページの CV タグ漏れ / サブドメイン間の二重カウント / クロスドメイン Cookie 設定漏れ
- 何が起きるか:サマリーの数字が「正しい」前提が崩れる、すべての判断が狂う。施策を直しても直らない
- 確認方法:業者から「タグ実装完了報告書」を月次で受け取る / Search Console の流入数と GA4 のセッション数を突き合わせ、乖離が大きければ警告 / 本番リリース後 1 週間は実数値の急変動を必ず観察
落とし穴 2 — セグメント差(平均で異常が消える)
- 症状の例:PC CV 5% / SP CV 0.5% だが平均 2% で安定 / 既存指名は CV 高 / 新規 SEO は CV 低 / 都市部リターン高 / 地方リターン低
- 何が起きるか:SP 改善余地が見えない、新規 LP の構造課題が見えない、地方流入の質改善ができない
- 確認方法:主要 3 軸でセグメント別 CV率を月次で確認 — デバイス(PC / SP / Tablet)× 新規 / リピート × 主要チャネル(SEO / 広告 / SNS / 直接) / Looker Studio に「内訳ビュー」タブを 1 枚追加して、平均と内訳を並べて見る / 平均と乖離が 2 倍以上のセグメントがあれば、その月の改善テーマ候補に挙げる
落とし穴 3 — チャネルごとの温度差(同じ「セッション」が別物)
- 症状の例:検索 / SNS / 広告 / 直接で、CV率・直帰率・滞在時間が 桁違い に違う。サマリーで混ぜると LP の良し悪しが見えなくなる
- 何が起きるか:「LP の CV率が悪い」と判断して LP を直すが、実は広告の質 / SEO の意図ズレ / SNS の温度感、が原因だった
- 確認方法:チャネル別の CV率・直帰率・滞在時間・回遊数を月次で別建てに見る / チャネル別に「想定温度感」を文書で持っておく(広告 = 比較中、SEO = 情報収集、SNS = 偶然出会い、直接 = 既存顧客)/ 温度感と実数値が乖離しているチャネルから改善する
落とし穴 4 — CV 定義のズレ(同じ言葉で違う数字)
- 症状の例:GA4 の CV(資料 DL)/ マーケの CV(リード)/ 営業の CV(商談化)/ 経営の CV(受注売上)が、社内会議で混ざる
- 何が起きるか:「CV 30 件」と言っても部署ごとに別の数字を意味し、議論がかみ合わない。施策評価がブレる
- 確認方法:部署横断で 「CV はこの定義」 を文書化する(決め方は 第2章 Lesson 1 の合意形成と同じ要領です) / 月次レポートの最上段に「本レポートにおける CV 定義」を必ず明示する / GA4 の CV イベント名と、マーケ・営業・経営それぞれの定義を 1 枚の対照表に並べる
担当者の動き方:サマリー 5 分 + 4 領域 30 分の月次ルーティン
- 月次の最低限ルーティン:サマリー 5 分(全体感) + 4 領域確認 30 分(裏側のリスク管理)
- サマリーが悪化していない = 健全、ではない。4 領域で異常が進行している可能性を常に疑う
- 4 領域の確認結果は 月次レポートの裏面に必ず記録 する(後でレビューできるように)
- 業者にレポート提出を依頼するときは、4 領域にも毎月触れてもらう
「サマリー第一 + 4 領域確認」は両輪
サマリー第一は効率よく見るため、4 領域確認は見落としを防ぐため。 どちらか片方では不十分で、両方あって初めて成立します。 担当者の責任は数字の表面ではなく、土台の健全性まで — 第5章 Lesson 6 で見た「最終承認者の全体責任」と同じ考え方です。
7. GA4 で担当者が見る場所
GA4 は多機能ですが、担当者が見る場所は「レポート」だけで十分です。
- 見る画面:左メニューの「レポート」→「集客」(どこから来たか)「エンゲージメント」(どう見られたか)「コンバージョン」(成果)
- 見る数字:期間を前月・前年同月と比較して、伸び / 落ちを確認する
- 使わない機能:セグメント機能・探索機能は業者領域なので、初心者は無理に触らない
- 異常時の相談先:数字が急変したら、まず計測不備を疑い、業者に確認する
8. Search Console で担当者が見る場所
Search Console では、「検索パフォーマンス」を中心に見ます。
- 見る画面:「検索パフォーマンス」で、クエリ(検索された言葉)・クリック数・CTR(表示のうちクリックされた割合)・掲載順位を見る
- 見る数字:担当者は「検索クエリの上位 20」を眺めるだけで OK
- もう 1 つ:「ページのインデックス登録」で、検索に載らないエラーページが出ていないか確認する
- 異常時の相談先:エラーや順位の大きな下落があれば、原因と対応を業者に確認する
9. 担当者が見るべき月次サマリー項目
毎月のサマリーで見る項目を、「何を・なぜ見るか」とセットで並べておきます。
- セッション数(前月比・前年比):全体の勢い。大きく落ちていたら要調査
- 主要 CV 数:成果そのもの。セッションが横ばいでも CV だけ落ちたら動線を疑う
- 流入チャネル別比率:どこから来ているか。特定チャネルの急減は原因を確認
- 主要キーワード上位 20:検索での見られ方。想定と違う言葉で来ていないか
- 主要ページ別の PV・滞在時間:読まれているページ。滞在が極端に短いページは改善候補
- 主要 LP の CV率:入口ページの成果。落ちていたら LP の見直し
- 異常変動の有無:上のどれかが急変していないか
- 仮説と検証結果:先月立てた仮説がどうだったかを 1 行残す
テンプレート:月次サマリー項目シート(担当者版)
数字は、最初こそ多くて圧倒されるかもしれませんが、見るべきところは案外シンプルです。サマリーをざっと眺め、気になったときだけ掘り下げる。そして月に一度、4 領域だけは裏側を覗いてみる。これだけで、解析は「こわいもの」から「味方になる地図」に変わっていきます。完璧に読み解こうとせず、まずは毎月 5 分のサマリー確認から始めてみてください。続けるうちに、自然と数字の表情が見えてくるはずです。